あれこれ memorandoms やすなべ categorized Yasの状況 activities Yasについて about Yas Yasへの連絡 contact us

  今週のお言葉  

 の夏に亡くなった猫の みみから、手紙が届きました。嬉しくて嬉しくて何度も読み返しました。みみは猫なのに文字が書けるんだなぁと感心しました。

 父ちゃん母ちゃん

 みみです。電車の中でこの手紙を書いています。

 ホームに父ちゃんとこむがやってきて、みみを見送ってくれました。電車の出発時刻がせまってきて、ゆずが早く乗りなよと急かします。ゆずは上りの電車でみみを迎えに来てくれました。この電車は折り返し運伝で元来た場所に戻ります。駅に着いたのにゆずは電車から降りる事は出来ません。父ちゃんとこむは車内に入る事は出来ません。そういう決まりみたいです。みみのスーツケースをゆずが席まで押していってくれました。父ちゃんが電車の中で食べるようにみみとゆずの大好きなチュールと出汁(だし)をくれました。ゆずの渡してくれた指定席券を見るとみみとゆずの席は窓際で向かい合わせのようです。電車の中でおやつを食べるのが楽しみです。

 電車が動き出しました。気がついたら夜の(とばり)が降りてきて、電車は田圃(たんぼ)の中をガタンゴトンと走っています。さっきまでホームにいた筈なのに、田圃の向こう側で父ちゃんとこむが大きく提灯(ちょうちん)を振っているのが見えます。ゆずと一緒なのでちっとも不安はありません。ゆずと一緒にみみも窓から手を振ります。みみは電車に乗って天国に行くのです。お(うち)での生活は本当に楽しかったです。みみは先に行きます。いずれまた天国でお会いしましょう。それまでの間、しばしのお別れです。父ちゃん母ちゃんありがとう。そしてさようなら。

 夢を見ながら、それが夢だと分かっていた。

 三浦しをん著「月魚」(角川書店)からのお言葉です。夢の中でですけれども、みみから手紙を貰って本当に本当に嬉しく思いました。いずれ皆、いつかは亡くなってあちらに行くのですから、しばしの別れに過ぎないとは分かっています。でもね、やっぱり、みみに会いたいよ。Copyright (C) by Yas / YasZone

【つづく】

「今週のお言葉」の目次に戻る

「やすなべの目次に戻る」

Copyright(C) by Yas/YasZone