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  犬が語る猫の思い出  

 

動けなくなった猫のみみを
ペロペロしてあげる犬のこむ。

 んにちは、犬のこむぎで御座います。こむの本当の名前はこむぎなんだけど、みんなはこむの事をこむぎと呼ばずに「こむ」と呼ぶんだよ。

 昨年の大晦日に、リーダーだった猫のゆずが18歳で亡くなり、Yas家の住人は、父ちゃんと母ちゃん、猫のみみと、犬のこむの4人になってしまいました。父ちゃんも母ちゃんもこむも元気ですが、みみは昨年の暮れに顎の癌が見つかり、獣医の先生に余命宣告をされて以来、徐々に痩せてきていました。

 こむがYas家に貰われて来てからの16年間は、ずっと猫と一緒の生活でした。実はこむは他の犬と暮らした経験がありません。みみはずっとこむのお姉ちゃんだったのです。そのみみが徐々に弱っていくのを見るのは、こむにとっても悲しい事でした。

 6月に入って、腫瘍に押されてみみの目が見えなくなってしまいました。この頃になるとみみは固形物は全く食べられなくなり、母ちゃんがフードプロセッサを使って、ささみとかモンプチとかマグロとかをペースト状にしてくれたモノを、僅かずつ口にするだけになっていました。

元気な頃の みみ

 みみは目が見えなくなってしまいましたから、みみがお水を飲みたそうにしていると、こむが台所に連れて行ってあげていました。みみがご飯を食べ終えて、お気に入りの毛布のところに戻るのをサポートするのも、こむの役目でした。みみとこむは姉妹として育ちましたから、元々仲は良かったのですが、最近は、こむがみみの介護をお手伝いするようになっていました。

 みみが亡くなった6月16日は、母ちゃんは朝から仕事、父ちゃんは午後から仕事の日でした。みみはもう自力で起きあがる事も出来ない状態でした。父ちゃんが指でお皿のお水を飲ませてあげると、みみはコクコクと美味しそうに飲んでいました。父ちゃんがお股をちょんちょんと刺激すると、みみはペットシートの上でおしっこをしました。結構な量のおしっこでしたから、ずっと我慢していたのかも知れません。みみは普段から猫トイレを使っていて、トイレ以外の場所でおしっこするのは抵抗があったのでしょう。それにしても、長々とおしっこをして、すっきりしたと思います。

 その後、父ちゃんはみみを抱っこして、ウッドデッキに出ました。こむも一緒について行きました。みみは昔からウッドデッキが大好きでした。父ちゃんがみみにブルーベリーの葉っぱの匂いを嗅がしてあげました。みみはクンクンして、気持ち良さそうに外の空気を感じているようでした。

 水を飲んでおしっこしてウッドデッキで葉っぱの匂いを嗅いだら、安心して眠くなったようでした。父ちゃんがバスタオルを敷いて、みみをそこに寝かせました。寝ている間、みみは父ちゃんと手を繋いでいました。

 しばらくして、みみの手がぎゅーっと父ちゃんの指を掴みました。そして伸びをするように足をぐーっと突っ張りました。こむはすぐ横でそれを見ていました。そのままみみの呼吸が止まりました。みみは父ちゃんの指を掴んだまま、天国へ旅立ちました。17歳でした。

 16年間ずっと猫と姉妹のように育ってきたこむですが、初めてこむのお家に猫が一匹も居なくなりました。ふとそこにみみが居るような気がして、洗面所を探したり、二階の父ちゃんと母ちゃんの寝室を確かめたりしましたが、やっぱりみみは、どこにも居ませんでした。

 毎朝父ちゃんは車で母ちゃんを職場まで送ります。父ちゃんのお仕事は普段は午後からですから、母ちゃんを送って帰ってくると、こむをバイクに乗せて、公園に連れて行ってくれます。バイクで風を切って走るのはすごく楽しいですが、お昼に家に戻って父ちゃんが仕事に出掛けると、こむは夜まで独りぼっちで過ごさなくてはいけなくなりました。みみはもう居ないのです。みみと遊んだり、一緒に二階を探検したり、同じ布団で昼寝したりなんて、もう出来ないのです。

 これからは父ちゃんと母ちゃんとこむの3人だけの生活。それはそれで楽しいのですが、みみやゆずが居ない事が寂しくないと云えば嘘になります。父ちゃんと母ちゃんとの時間を大切にして、頑張って楽しく生きていこうと思います。Copyright (C) by Yas / YasZone

【つづく】

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