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  今週のお言葉  

スノーピーク製
Titanium Spoke SCT-004

 、かみさんと一緒にコーヒーを飲んで、仕事に行くかみさんを送り出して、ルンバを仕掛けて、こむぎと散歩に出掛けて、帰宅後1時間ほどDVDを観ながらローラー台でゴンゴロして、シャワーを浴びて、かみさんのお手製のランチプレートを食べて、お昼過ぎに仕事に出掛けるのが、最近の私の平日のルーティンであります。

 独りでの外食をあまり好まない私の為に、毎朝かみさんがお昼ご飯を用意してくれます。コールマン製のキャンプ用メラミンプレートに、おかずやご飯を盛って、いわゆるランチプレートを作ってくれるのです。実際には昨夜の残り物も入っていたりもするのですが、ちょっと給食っぽくて、中々楽しく美味しいお昼ご飯であります。

 このランチプレート、実は、ちょっとした難が御座います。飯茶碗(めしぢゃわん)ではなくお皿にご飯がよそってあるので、箸ではちょっと食べにくいのです。ちょっとお行儀が悪いのは分かっちゃいるのですが、独りでの食事と云う事もあって、読書しながらお昼ご飯を食べる事もちょくちょくあります。特にそんな場合、箸は全然ダメでありまして、先割れスプーンが最も使いやすくて機能的なのではないかと考えました。

 先割れスプーン。米語では spork 。 spoon と fork からの造語と思われます。日本においても米国においても、幼児用の食器というイメージがとても強く、いい歳をした大人が使うモノではない、というのが一般的な認識でしょう。実際に、東急ハンズやロフトやIKEAに出掛けてみましても、アニメキャラの印刷された、幼児用のモノしか置いてありませんでした。う〜む、どこかに、大人用の spork は無いものか!

コールマン製
キャンプ用メラミンプレート

 ふと思いついて、南大沢にあるアウトドアショップ、ワイルドワンに出掛けてみました。少しでも荷物を軽くしたい山用品として考えれば、spork は非常に理に(かな)った食器と申せましょう。だとすれば、大人用の spork が置いてあるかも知れません。2階のテーブルウエアのコーナーを覗いてみますと、おお!!私の要求ズバリの素晴らしい物品を発見してしまいました〜!スノーピーク製 Titanium Spoke SCT-004、チタンの先割れスプーンであります。

 私は自他ともに認める金属フェチでありまして、以前から、ネジが好きであるとか、チタン製の湯飲みが欲しいとか、皆様の前で、散々醜態をさらして参りました。一部の女性が宝石に対して異様に固執するが如く、チタンの鈍い金属光沢は、私のハートを鷲掴(わしづか)みにするのであります。

 それにしても、さすがスノーピーク。新潟県三条市に本社を置く純国産のこのアウトドア用品メーカは、チタンの加工に掛けては随一の技術力を誇っており、その製品は単に軽くて丈夫で使いやすいだけではなく、工芸品としての美しさをも兼ね備えた、まさに逸品であります。ようは造りが丁寧で緻密なのですな。さすが、メイドインジャパン!

 品質も一級品なら値段も一級品です。単なる先割れスプーンが、税込842円もするのでありますからね。な〜んだ、1,000円もしないんじゃん、ですと?普通のスプーンなんて100円ショップに行けば3本セットが108円で買えるのですぞ!!十分な贅沢品でありましょう。高価い。でも欲しい。食器一つに842円も投資して良いものでしょうか。私はA型の乙女座でありまして、こういう場合、必要以上にクヨクヨクヨクヨと悩むのが常。結局この日は、どうしても買う踏ん切りがつかず、すごすごとワイルドワンを後にしたのでありました。我ながら小心で吝嗇(りんしょく)な意気地無し野郎でありますなぁ。

 翌日もその翌日も、頭の中はスノーピーク製 Titanium Spoke SCT-004の事で一杯です。仕事も手につかぬ程。確かに先割れスプーンに842円は過剰な投資と云えましょう。しかし考えを変えれば、たった842円で、幸せが買えるのです。いい歳をしたオサ〜ンが欲しくて欲しくて悩みに悩む対象が、842円で購入出来るのであれば、十分にリーズナブルであります!買おう!買うのだ!!大好きなチタンで出来た、素敵な食器を購入する為に、私は南大沢のワイルドワンに意気揚々と向かったのでありました。二階の(くだん)の棚にあったスノーピーク製 Titanium Spoke SCT-004をむんずと掴むと、レジに持って行きます。どうだ!俺は決断したぞ。とうとう買ったぞ。小心でも吝嗇でも意気地無し野郎でもなく、大胆なる消費者と呼んで欲しい。何て素晴らしいんだ。食事の度に、チタンの輝きを楽しむ事が出来るとは!!

 三日前にも、いらしてましたね。

 百田尚樹著「フォルトゥナの瞳」(新潮社)からのお言葉です。ぎゃ〜。逡巡する様子をしっかり店員さんに見られていたようであります。恥ずかしや〜!きっと、「この間さ、クヨクヨ親爺(おやじ)が店に来てさ〜、数百円なのに買うか買わないかマジ悩んでんの!」な〜んて、店員さんの間で噂の的になってるんだろ〜な〜。恥ずかしくて、しばらくの間はワイルドワンに出掛けられそうにない私なのでありました。Copyright (C) by Yas / YasZone

【つづく】

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