概の犬がそうであるように、こむぎは散歩が大好きであります。彼女は「さんぽ」という単語を理解しており、ちょっとでもこの言葉を耳にしたら最後、狂喜乱舞状態に陥ります。そこでYas家では、こむぎにバレないように「散歩」の事を「ぽんさ」、「こむ散歩」の事を「むこぽんさ」と呼んでいるのでありました。
先日、むこぽんさに出掛けた時のお話です。程久保基地を出て多摩動物公園前から光塩幼稚園に向けて栗林の中の道を抜け、旧多摩テックから東京薬科大学の裏山を通って平山城址公園まで行き、北野街道で北野に出た後、湯殿川、浅川経由で七生中学校まで戻り、日本野鳥の会日野支部の坂道を登って動物園の山づたいに鹿島台の住宅地に出て、高幡不動尊の裏山から境内に降りてお参りした後、京王高幡不動駅前商店街を抜けて、モノレール通りから程久保川沿いを戻っておりました。地元の方以外には何の事やら全然分からないと思いますけれども、約14Kmのロングぽんさでありますよ。
ぽんさが大好きなこむぎも、さすがに結構疲れた様子。そりゃそうでしょう。14Kmとは、犬の散歩と云うより、むしろトッレッキングに近いですもんね。ともかく、ここまでくれば程久保基地は目と鼻の先。こむぎと二人で程久保川沿いの遊歩道をテクテク歩いておりますと、前方にうんちをしている犬が見えます。こういう場面ではあまり近づき過ぎず、待っているのが礼儀。こむぎと私は、その犬がうんちを終えるまで、遊歩道の草の上で立ち止まっておりました。すると、うんちをした犬とその飼い主は、うんちを回収しないで、そのまま歩いて行こうとするではありませんか。完全なマナー違反であります。
さすがに、こりゃひどい。程久保川沿いの遊歩道は、市民の憩いの場。これでは誰かがうんちを踏んでしまう事になります。犬の散歩において、うんち袋を携帯し、うんちを家に持ち帰るのは、飼い主として当然の事でありましょう。私はその飼い主の方に抗議するとともに、予備のうんち袋を渡し、たった今したうんちを回収するように云いました。飼い主は、しぶしぶうんちを回収した後、驚く無かれ、私に向かって次のような捨て台詞を口にしたのであります。
私は市民税もきちんと払っている善良な市民だ。だからこの遊歩道を使う権利がある筈だ。うんちを回収しなかっただけなのに、赤の他人に行動を指摘されるいわれなど無い。あんたはこの遊歩道の管理者か？管理者でもないのに、うんちの回収を命ずるなど、明らかに権利の侵害だ。
お前には権利があっても資格がない。
浅田次郎著「つばさよつばさ」（小学館）からのお言葉です。居るのですな、こういう犬を飼う資格の無いお馬鹿さんが。馬鹿を相手にするのって、とっても疲れるんで、この日は軽く注意をして終わりにしましたが、次も同じ事をしたら絶対に許さねぇからな！ あ。一応お断り申し上げますと、ジェントルマンらしく、あくまでも軽〜く注意しただけですからね。恫喝なんてしてないですってば、いやホントに。それにしても、久々に真性のお馬鹿さんってヤツを見ましたよ〜。
【つづく】
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