が程久保基地には、猫のゆず、みみ、犬のこむぎが住んでいます。彼女らは猫・犬という種を越えたお付き合いを楽しんでいるようでありまして、時々喧嘩をしながらも、概ね仲良く暮らしております。
ゆず、みみ、こむぎ間のコミュニケーションは、ほとんどの場合ボディランゲージによってなされているようです。勿論、にゃ〜んとか、クムクムとか、フ〜とか、わんとか、発声によるコミュニケーションもあるにはありますが、「言語」と呼べるようなモノでは当然ありません。ま、犬にしろ猫にしろ、我々人間に比べますと発声器官の繊細さは極端に貧弱でありますから、無理からぬ事ではありますがね。
喋れないから頭が悪いかというとそんな事はありません。発声器官の貧弱さに比べて聞き取り能力は非常に高く、ゆずもみみもこむぎも私の言葉をかなりのレベルで理解する事が出来ます。少なくとも自分の名前は完全に聞き分けています。三匹が二階に居る状態、すなわち私の表情や視線やジェスチャーが見えない状態で、「ゆず!」と呼べばゆずだけが階下に降りてきますし、「みみ!」と呼べばみみだけが、「こむ!」と呼べばこむぎだけがやってきます。
名前以外にも「ごはん」とか「駄目!」とかいくつかの指示も聞き分ける事が出来ます。これらを名前と組み合わせる事で、かなり多彩なコミュニケーションが可能となるのです。「みみ、おいで」とか、「ゆず、ごはん」とか「こむ、わんしない」(吠えちゃ駄目の意)と云う具合です。双方向の「会話」と称するには無理があるにしても、こちらからの指示は割と的確に伝わるのであります。犬のこむぎはともかく、一般に、「猫は人の云う事を聞かない」と言われますが、決してそんな事はありません。ゆず、みみは、きちんとこちらからの指示を理解し、その指示に従う事が出来ます。「みみ、遊ぶ?」と尋ねれば「にゃッ」と答えますので、「準備して下さい!平べったくなって隠れて下さい!」と云うと、柱の影に伏せて、おもちゃに跳び付く準備姿勢を取ります。猫も教えればちゃんと云う事を聞くのであります。
この様に理解力の高い三匹でありますが、特にこむぎは犬と云う事もあるのでしょう、音声認識力が非常に高く、普通に喋っている会話もある程度なら理解しているようなのであります。例えば私がかみさんに、「なぁ、明日の朝のこむ散歩、誰が行く?」などと言おうものなら、こむぎは「こむさんぽ」というフレーズを聞き取って、今から散歩に連れていってもらえるのかと勘違いし、大喜びしてしまうのです。
そこで、こむぎにバレずに会話出来るように、私とかみさんは隠語を使うようにしています。「明日は天気が良いみたいだから、むこぽんさは、ちょっとロングにしようかな」という具合です。流石のこむぎも「むこぽんさ」が「こむ散歩」だとは気付かないようであります。まさに情報戦(笑)。ふふふ、こむぎめ、人間様の知恵をナメるなよ〜!
【つづく】
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