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  拡大こむさんぽ  

 お出掛け

ここが東京とは到底信じらぬ位の山深さ
これでも、家から数百メートル地点です

 むぎは捨て犬として捕獲されていたところを縁あって引き取った雌犬であります。ですから正確な誕生日も分かりませんし、どのような血統かも分かりません。ただ体の色が小麦色をしておりましたので"こむぎ"と名付け、うちの家族となったのであります。猫のゆずとみみと一緒に仲良く室内で暮らしています。

 本当の名前はこむぎなのにも関わらず、うちでは彼女の事をこむぎと呼ぶ者はおりません。「こむぎ」って意外と発音しづらいのです。殊に「むぎ」の部分は力が入りにくく、そこで私も含め、皆、彼女の事を「こむ」と呼びます。ちょっと発音してみて下さい。「こむ!」ね?力がしっかり入って発音しやすいでしょ?

 こむぎは室内でおしっこやうんちをする事はありません。彼女はトイレを兼ねて必ず朝晩散歩に行きます。雨の日は、こむ合羽(かっぱ)を着て、こむさんぽに出掛けるのです。我々は「こむぎ用の合羽」の事を"こむ合羽"、「こむぎの為の散歩」の事を"こむさんぽ"と呼んでいます。こうした言葉はこれらの他にも、"こむご飯"、"こむおやつ"、"こむ()"、"こむ毛布"など色々あります。こむさんぽは365日、一日たりとも休みなく、主にかみさんと下の子供が交代で行っています。

 朝晩のルーチンの散歩の他に、そうですねぇ、週一回程度の頻度で、拡大こむさんぽに出掛けます。これはトイレの為ではない、純粋なリクリエーションとしての散歩であります。普通の散歩は30分から長くても1時間程度なのに対し、拡大こむさんぽは2時間以上の長距離散歩であります。勿論こむぎは、この拡大こむ散歩が大々々好きです。

 拡大こむ散歩のキーワードは何と云っても「山」であります。我々の住む日野市程久保地区には、多摩動物公園という都営の大きな動物園があり、この動物園の周囲には雑木林が残されています。おそらくは動物園の臭いや吠え声が近隣住民のクレームに繋がらぬように、宅地との緩衝地帯として残されているのだと思いますが、多摩丘陵の自然がそのまま残されたこの雑木林には、"語らいの(みち)"と名付けられたトレッキングコースが併設されていて、ちょっとしたハイキング気分が味わえるのであります。

 日野市はれっきとした東京都内の街です。ところがこの語らいの路を歩いて参りますと、ここが東京とは到底信じらぬ位の山深さ。散歩中にモグラやウズラを見る事もしばしばです。家から数百メートルの所にこうした自然が残されているというのは、何て幸せで素敵な事でありましょう。そういえばこの辺りは、スタジオジブリ制作のアニメーション映画、平成狸合戦ぽんぽこの舞台となった場所でありまして、宅地としての開発も進んだ一方、未だ随所にこうした多摩丘陵の自然が残されているのであります。

 平日の午前中、気が向くと仕事の前にたっぷりと2時間半程、拡大こむ散歩に出掛けます。私がこむぎに「おい、こむ、出掛けるか」と声を掛けますと、奴も出掛けるのが分かるのでありましょう、くむくむくむくむと嬉しそうに呼応致します。いつもの散歩紐ではなく、リール式の5mは延びるリードを出そうものなら彼女の期待は最高潮に達し、うっすらと眼に涙さえ浮かべつつ、くむくむくむくむくむくむくむくむと玄関でお座りして私を待ちます。

 この季節、語らいの路は凛とした空気で満たされ、歩き始めこそ寒いものの、しばらくするとうっすらと汗をかく程です。単なる散歩道ではなくちょっとしたトレッキングコースと呼べる位アップダウンに富んでいるのです。この山道を、落ち葉を踏んでかさかさと音を立てながら、こむぎは嬉々として進みます。リードは5mもあり、彼女はほぼ自由にその辺りを飛び回れるのです。鳥やモグラを追い掛けてこむぎは走り、穴を掘り、(やぶ)を探検します。こりゃ楽しいに決まっていますわな。犬にとっちゃ至福のひと時でありましょう。

 意外と知られていない、日野語らいの路。わざわざ高尾山まで出掛けなくても気軽にミニトレッキングが楽しめます。皆様も一度お出掛けになってみる事をお勧め致します。とても気持ち良いですよ。Copyright (C) by Yas / YasZone

【つづく】

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