確かに興味をそそられる書き方であります。ま、それが出版社の狙いですからね。エンタテイメントの宣伝とはそういうもんでしょう。映画の宣伝と同じです。私の場合、約350ページの小説を読了するのにおそらく2時間弱。時間的にはロードショウ映画を観るのと同程度のエンタテイメントという事になります。そうしますと1600円というこの本の定価も、映画と同等と考えれば、ま、そんなもんかと思える金額です。 ところが、しか〜し!実は私はこの本を本屋から正規購入したのではなく、中古をブックオフで購入していたのでありました。ななな何と、購入金額は550円。1600円の本、しかも見たところピカピカで新品と区別出来ないクオリティにも関わらず、定価の約65%オフ!ありがたい事であります。何だよ、たった1050円浮いたってだけの話じゃねぇかよ。シミッタレてやがるなぁ。違うのでありますよ。確かに浮いたお金は些少かも知れません。私の申し上げたいのは、これが乱読の為の書籍購入を阻害しない金額である点なのであります。 とかく本を読まない人ほど、本を大切にしましょうとか、良書を読みましょうとか、無理な事をおっしゃいます。それじゃお聞きしましょう。良書って一体何でしょうか?本の価値は読者それぞれの価値観に影響を受けます。ある人が良い本だと感じたとしても、それが私にとっての良書であるとは限らない。極めつければ、自分にとっての良書に出会う為には、乱読しか方法がないのです。愚作を含む覚悟で書籍を購入するにしても、それが1600円と言われた日にゃ、購入を躊躇するのも無理からぬ事でありましょう。1600円と云やぁ、焼鳥屋で一杯やれる金額ですからね。 読んでみれば面白いものであったのかも知れないのに、金額に躊躇して機会を失ってしまう。これもまた勿体無いお話で御座います。好きな作家の新作であればそんな心配とは無縁でしょうが、新たに Favoriteな作家を発掘する意図でチャレンジしてみる場面では、ブックオフの価格は本当に有難い。しかも今回のペンギン・ハイウェイはそこそこ新しい本なので550円でしたが、350円のものや105円のものもたくさん店頭に並んでいるのです。千数百円の本が105円!!まさに夢のような店であります。 作家を育てる為には中古を買ってはいけません、新品を買えば印税という形で作家に利益が環流しそれが次回作に繋がるのですから、と云われた事があります。私は根本的にこの考えはおかしいと考えています。海賊版や違法コピー品ならばともかく、作家の受け取る印税にはリセールされる価値分も含まれていると思うからです。 ブックオフのようなリセール業者が存在するからこそ、あとで売れば良いやと考えて新品購入に踏み切る人もいる筈なのです。リセール環境が整っているからこそ新品が売れるという事実を考えれば、リセールの否定は意味のない感情論である事が分かります。こうした考えは、トヨタの開発費を確保する為に、中古車の購入を控え必ず新車を買いましょうという意見や、株式の通常売買を禁じて、新株の引き受けだけにしましょうという考えと同じで、現実的なものではないと思うのです。 ま、そんな事より本が安いのは、単純に嬉しい事であります。ブックオフにはスーパーマーケットで使うようなレジかごが置いてあります。このかごにポイポイとハードカバーを入れていく快感。読もうかどうしようか迷ったら躊躇無く購入出来る幸せ。私はブックオフに出掛けると、大概ハードカバーを10〜15冊ほど購入します。定価で2万円を超える書籍が千数百円。至福です。図書館で借りるのも良いのですが、所有し、いつでも読み返せるという安心感は格別であります。 私が幼少の頃、小学校低学年の児童が徒歩や自転車で行ける範囲に図書館は無く、もっぱら沼津市立図書館のマイクロバス、確かあの頃このマイクロバスを「巡回文庫一号」って呼んでたっけ、が私と書籍の接点でありました。当時私は、ポプラ社刊の江戸川乱歩著、少年探偵シリーズと、偕成社刊のコナンドイル著・久米元一訳、名探偵ホームズシリーズに夢中でありました。こうしたいわゆる児童向けの書籍は、大概立派なハードカバー仕立てでありまして、当時はよっぽど金持ちの家でない限り、ポイポイと子供に買い与えられるような代物ではありませんでした。クリスマスや誕生日に欲しいものは何?と問われれば、「本」と即答するような子供であった私は、事あるごとに親に本をねだっていましたが、「そんなに本が欲しいのであれば、大人になって自分でお金を稼ぐようになったら、自分のお金で好きなだけ買いなさい」と誤魔化されていました。 あの頃は大人にさえなれば好きなものが好きなだけ買えると信じていました。自分の女房に文句を言われるなんて事、想像すらせずにね(笑)。ブックオフは、私の幼少の頃からの夢を叶えてくれる、パラダイスのような店であります。ブックオフありがとう。ブックオフ万歳!!
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