前、老眼である事を認めたくなくて、老眼鏡の事を、「壮年性近距離限定焦点合わせ困難症対応メガネ」などと称したりしていたのですが、最近では諦めも入り、普通に「老眼鏡」と呼んでおります。
私の老眼鏡の度数は1.75。メガネの度数としてはこれでちょうど良いのですけれども、暗い場所では急に活字が読みにくくなってしまいます。目の機能全体が低下しているのでしょうな。以前は、喫茶店などで読書する機会もしばしば御座いました。照明を落とした落ち着いた雰囲気の喫茶店で読書を楽しむのは、私にとって至福の時間だったのです。しかし最近では、暗いというだけで活字を追うのが辛くなってしまいました。
自己発光するスマートフォンのディスプレイなら、多少フォントが小さくても、老眼鏡さえあれば読む事が出来ます。しかし文庫本など活字が小さな媒体を照明が暗めの場所で読もうとすると、もう駄目。老眼鏡を使ってるにも関わらず、極端に読みにくくなってしまいます。
単行本なら読めるんじゃないですか?
小野寺史宜著「ライフ」(ポプラ社)からのお言葉です。確かにその通り。活字の比較的大きな単行本は、文庫本に比べて格段に読みやすい。しかも私の場合、文庫化されるのを待ちきれずに単行本を購入してしまう傾向が強いので、蔵書は単行本が大半を占めています。このように、新刊については問題ないのです。困るのは、既に文庫化されていて、単行本が流通していない本の場合であります。電車の中で読むモノが無く、駅のキオスクで適当な本を探そうとした際、「そうだ、この本読んでなかったな」と思って購入するのは、ほぼ間違いなく文庫本。キオスクでは単行本は扱っていませんからね。
最後の手段として、暗い場所で文庫本を読む為にハヅキルーペを用いれば良いのですが、ハズキルーペはスポーツグラスのような独特な形状をしていて、すぐに周りの人にバレてしまいそうなのが難点。「ハズキルーペ、だ〜い好き!」で有名な、あのド派手なコマーシャルのお陰で、むしろ人前での使用が憚られるというのは、甚だ逆説的な話ではありますけれども、私も人目が気になる繊細なる年頃でありまして、読書の悩みは尽きないのでありました。
【つづく】
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