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  今週のお言葉  

 近、とんと長距離サイクリングに出掛けておりません。グランフォンド八ヶ岳も、大雨の為出走しませんでしたしね。以前はこうでは無かったのです。暇を見つけては、せっせと自転車に乗っておりましたし、雨の日もルートラボで次回ツーリングの計画を練っていたものであります。それがここ一年くらいでしょうか、自転車で出掛けるのが億劫に感じられるようになっちまったのであります。

 人間の体は正直です。しばらく乗らないだけで、心肺機能はガタ落ちになってしまいました。先日久しぶりに連光寺坂に出掛けたのですが、全然タイムが出ないどころか、自分を追い込む事すら出来ないのであります。これ以上は無理という状態まで自らの体を追い込む事で、初めて心肺機能は向上していきます。逆に追い込めないまま余力を残してダラダラと坂を登っても、それなりに疲れはしますが、機能向上は望めないのであります。

 そもそも、「体が(なま)ってるんだからサイクリングに出掛けなきゃ」という想いが強い今の状況では、走っても楽しくないというか、楽しくない自分が事前に想像出来てしまうというか、とにかく昔ほど自転車に夢中になれないのであります。

 特に他の方と一緒にツーリングに出掛けるとなると、心配は倍増してしまいます。自分だけ遅くて皆の足を引っ張ってしまうのは確実だからです。ついていく為にはもっともっと自転車に乗って心肺機能を向上させなきゃ。いつの間にか自転車に乗る事が義務のようになってしまっている事に気付きます。嗚呼、昔はロードバイクに乗るだけで楽しかったのに。

 わたしには怖いものが多すぎるのだ。多分。

 加藤千恵著「こぼれ落ちて季節は」(講談社)からのお言葉です。思い切って、考え方を変えてみる事に致しました。競技指向に考えるから、おかしな事になるのです。重いママチャリと違って、ロードバイクは一漕ぎで驚くほど軽く進みます。純粋にその滑走感というか浮遊感というか、運転そのものを楽しめば良いのです。それを忘れて「少なくとも120Km以上は乗らなきゃ」とか「もっと負荷を掛けなきゃ」とか考えるのは、義務感ばかりが先行して、楽しくないに決まっています。

 そこで先週末、ピンクちゃんで吉祥寺まで買い物に出掛けて参りました。多摩川サイクリングロードを下り、多摩川原橋を左折して、深大寺の脇を通って、東八道路に右折。都立三鷹高校入口の交差点を北に入って、通称、吉祥寺通りを道なりに進んでいきます。三鷹の森ジブリ美術館を右手に見ながら中央線のガードをくぐると、そこはもう吉祥寺です。道中、車通りも多く渋滞気味ですから、とばす事は出来ませんが、30Km/h弱の流れに乗って前を走る車について行きます。信号が変わるタイミングで、グイグイグイと立ち漕ぎで引っ張ると、スッスッスッと前に出ていく快感。ああ、この感覚を忘れていましたよ。

 レーパンの上に七分丈のズボンを穿き、上はレーシングジャージではなく速乾のロングTシャツという出立(いでたち)。一応、ヘルメットを被りグローブをはめ、SPDシューズを履いてはいますけれども、いつものサイクリングに比べれば明らかにラフな格好であります。何しろ今日はサイクリングではなくポタリングですからな。

 繁華街からちょっと外れた藤村女子高の近所にある、Billboardという絵葉書屋さんで絵葉書を仕入れ、Korttiというポストカード・カフェでも更に絵葉書を買って、コーヒーを頂いて帰路につきました。約50Kmのポタリング。決してとばしている訳ではないのに、電車で行くよりかなり早く着きましたよ。やっぱロードバイクは楽しいや。

 乗らなきゃ乗らなきゃという強迫観念に囚われて無理矢理乗るのはヤメにします。初心に立ち戻って、ロードバイクを楽しむところから始めてみようと思ったのでありました。Copyright (C) by Yas / YasZone

【つづく】

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