as家の徒歩圏内の駅の一つに京王線 高幡不動駅があります。高幡不動駅の駅ビルには、京王電鉄の100%出資子会社である啓文堂という書店が入っておりますけれども、ここはお世辞にもきちんとした新刊書店と呼べるような代物ではありません。内容は大きなキオスクと云ったところ。雑誌はそれなりに置いてありますけれども、ハードカバー、文庫、新書ともにラインナップは貧弱。直木賞や芥川賞、本屋大賞受賞作の入荷も遅いし、入ってきても球数は最低限。いわゆる「取次に軽視されている書店」の典型なのであります。ま、元々が書店ではなくキオスクなんだから、あまり責めても仕方ないのですがね。
昔は、最寄りの高幡不動には書源、隣駅の聖蹟桜ヶ丘には あおい書店というしっかりした書店が有ったのですが、残念な事に、書源 高幡不動店は2011年に、あおい書店 聖蹟桜ヶ丘店は2014年に、それぞれ立て続けに閉店してしまったのであります。近所にしっかりした本屋がなくなってしまった当時の私の喪失感は、相当なものでした。私にとって本屋は単に書籍を購入する場所なだけではなく、定期的に巡回し、世のトレンドを掴み、未知の作者に出会う、ワンダーランドのような場所だからであります。
それでも多摩モノレールに乗れば、多摩センター駅には丸善書店が、立川駅にはジュンク堂書店とオリオン書房があり、乗車時間はそれぞれ12分程ですので、まだまだ恵まれた立地と云えましょう。地方に行くと本屋の存在しない市町村がたくさんあるそうですからなぁ。
徒歩圏に書店が存在せず、モノレールに乗らなければ本屋に行けない生活も早10年を過ぎましたが、先月、思わぬビッグニュースが舞い込みました。何と!!京王電鉄が所有していた啓文堂の全ての株式を、紀伊國屋書店に譲渡したとの事!!凡庸でイケてなかった啓文堂が、紀伊國屋書店に生まれ変わるのであります。
HPによりますと、啓文堂 府中本店は、既に9月25日から紀伊國屋書店 府中店に変わっているのだそう。高幡不動を含む他の19店舗も、本年12末を目処に、順次、紀伊國屋書店に変更になるとの事であります。何と、徒歩圏内に紀伊國屋書店がやってくる!!全国的に書店の実店舗が縮小の一途を辿る中、モノレールで12分圏内に、丸善書店、ジュンク堂書店、オリオン書房が、そして徒歩圏内の高幡不動駅には紀伊國屋書店がある環境は、全国的に見ても特に恵まれた、屈指の読書子天国と云っても過言ではないでしょう。
確かに、現在 啓文堂が使っている高幡不動駅の駅ビル内の店舗は、きちんとした書店が入るには、ちと狭い。いかに紀伊國屋書店とて、この売り場面積で完璧なる書店を作る事は難しいでしょう。しかし老舗ならではのノウハウを使って、狭いなりにも工夫を凝らした店舗を作ってくれるに違いありません。新店舗に対する取次の扱いも、明らかに変わるでしょうしね。
年内にはリニューアルオープンするという紀伊國屋書店 高幡不動店。書店の意気込みというものは、売り場に入って正面の、平置き棚の様子とポップを見れば何となく分かってしまうものです。ここは一つ、老舗のお手並み拝見というところでありま〜す。リニューアルオープンが楽しみですなぁ。
【続きをお楽しみに】
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