のこむ散歩の際、iPodが手放せません。とは云え、音楽を聴く事は稀で、ほとんどの場合PodCast番組を聴いております。
PodCastとは、iPodとbroadcastからなる造語でしょう。元々AppleのiPod用に設定された規格ですが、今やiPhoneやiPadは勿論、Androidでも専用アプリを使えば聴取可能。ダウンロード形式のラジオ番組と云えばイメージして頂けるでしょうか。iTunesStoreには様々なジャンルのPodCast番組が用意されています。
PodCast番組の視聴の為には、iTunes経由でApple製品にダウンロードするのが一般的。xml形式データの物理アドレスを指定して直接ダウンロードする事も可能です。PodCastにはそもそも課金の仕組みが用意されていませんので、基本的に全て無料。FM東京やTBSラジオなどの放送局が提供するモノもあれば、一般の方が作っている番組もあります。
様々なジャンルのモノが用意されているPodcast番組ですが、最近はオーディオドラマにハマっております。特にオススメなのは「水俣初恋ポッドキャスト」。水俣市役所が地域振興を目的として作成したオーディオドラマなのですが、かなりクオリティが高いのでありますよ。iTunesStoreから「水俣初恋」で検索するか、PodCastアプリから、http://minamata-hatsukoi.seesaa.net/index20.rdf を直接指定するとダウンロード出来ます。まずは騙されたと思って、聴いてみて下さい。私としては「第3話:27年目の同窓会」が気に入っています。やるなぁ水俣市!という感じ。熊本地震の復興支援も兼ねて、思わず挿入歌のCDまで買っちまいましたよ。
iTunesStoreから「オーディオドラマ」と検索を掛けると、かなりの数の作品がヒットします。プロの声優が出演しているモノから、素人さんの作品まで玉石混淆ではありますが、それなりに楽しめる事請け合いです。先日、「ライトハンド」というオーディオドラマ作品(全20話)を聞き終えました。iTunesStoreから「ライトハンド」で検索するか、PodCastアプリから、http://www.lighthand.org/podcast.xml を直接指定して下さい。
こうしたオーディオドラマは、Amazon Audibleのようないわゆる朗読音源と異なり、効果音やBGMなども含まれている為、書籍以上に物語の情景を思い描きやすいという特性があります。かといって映像作品ほど作り手側からのイメージを強要される場面は少なく、物語世界に没入するには最適なメディアと云えるかも知れません。
こうしたオーディオドラマの持つ優れた特性に関しては、実はかなり以前から着目していたのでありました。集英社CDブックシリーズは、主に図書館などの公共施設向けのオーディオドラマCDですが、以前、このシリーズの浅田次郎原作の「鉄道員」のCDを聴いてみたのであります。まさに秀逸な出来。効果音やBGMのお陰で、強烈に情景を思い浮かべる事が可能な割に、役者のイメージに引きずられ過ぎるる事がありません。浅田次郎著「鉄道員」(集英社)は直木賞を受賞した短編集で、同名の短編は、高倉健主演で映画化もされました。小説では、心情については深く思い描く事が出来ますが、情景のイメージを伝えるのには限界があります。例えば小説を読んだだけで、ディーゼル機関車が北海道の雪原を走る様子や汽笛の音を思い浮かべるのは、一部の鉄道関係者を除いて、一般人には難しいでしょう。対して映画は情報量が圧倒的である代わりに、高倉健や広末涼子や大竹しのぶといった、役者のキャラクタイメージを押し付けられてしまいます。
小説や映画と並んで、オーディオドラマも重要で効果的なメディアである事は以前から理解していましたし、たくさんのオーディオドラマに触れてみたいと考えていました。しかし物理的な球数と云う意味では、市場にほとんど出回っていないと信じ込んでいたのであります。今回、PodCastという形でiTunesStoreからかなりの数のオーディオドラマが無料でダウンロード出来ると知って、嬉しくて仕方ありません。片っ端からiPodに取り込んで、聴きまくってしまいそうな予感なのでありました~。
【つづく】
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