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  角川文庫の背表紙の経年劣化  

 

昭和時代の角川文庫。
背表紙が陽に焼けて
全く読めない状態です。

 日、長い事棚上げにしていた、書庫の整理を行ないました。仕事場の本棚のキャパシティを増強し、自宅に保管してあり既にオーバーフロー気味になっていた書籍を、仕事場に移動したのであります。

 近年、壮年性近距離限定焦点合わせ困難症(老眼とも云う)の昂進が著しく、読む媒体は、活字の比較的大きいハードカバーか、表示フォントを大きく変更可能な電子書籍が主になっておりました。

 しかし、若い頃読んだ書籍の多くは文庫本であります。あの頃は貧乏で、高価な新刊書なんてそうそう購入出来ませんでしたからなぁ。結構、絶版になってしまったモノも御座います。50歳を前にし、こういった昔のモノも読んでみたいなと改めて考えた次第。下手すりゃ一度きり読んで30年以上放置してある本もざらにありますからね。特に昭和の時代の文庫本は現在の文庫本よりも更に小さな活字が採用されていて、既に裸眼では苦痛を越えて判読不能な状態。そうした事から最近では文庫本を敬遠どころか禁忌としていた訳であります。しかし老眼鏡を掛ければ問題なく読めるのですから、よく考えたらもっと早くに書庫の整理をするべきだったかも知れません。

書名と著者名をシールに印字し
背表紙に貼ってみました。
修繕は200冊以上に及びました。

 私は文庫本のカバーを外してしまう性癖がありまして、書庫の文庫本たちもほとんどカバー無しの裸の状態であります。昭和の時代の角川文庫は中身が赤い装丁で統一されていて、使われているインクの関係でしょうか、陽に焼けてしまい背表紙に書かれている書名や著者名がほとんど判読不能な状態なのであります。こうした現象は、講談社文庫や新潮文庫、岩波文庫では発生しておらず、昭和の時代の角川文庫に限った問題のよう。ま、四半世紀以上昔の印刷ですから、今更、角川を責めても仕方ありますまい。逆に講談社や新潮や岩波の堅牢さを誉めるべきかも知れませんね。

 老眼もさる事ながら、背表紙が読めない故、読まずに放置されていたという要素も否定出来ない訳でありまして、あらためて作品名と著者名をシールに印字し、背表紙に張ってみたのであります。まさに平成の大修繕。私は、個人としては比較的多くの書籍を保有していて、昭和の時代の赤い装丁の背表紙の印刷が消えてしまった角川文庫だけで200冊を越えておりました。結構、大変な作業でしたよ〜。

 こうやって角川文庫の総チェック&修繕をしてみますと、散逸してしまった書籍の存在がハッキリ致しました。例えば植松黎・編訳の「ポケットジョーク」シリーズ。自分としては全巻所有していたと思ったのですが、第2巻、第6巻、第20巻、第22巻が見つかりません。私はこのシリーズの大ファンで、中学から高校に掛けて貪るように読んだもの。しかし現在では絶版となってしまっていて、もう新品は手に入らないのであります。

 とは云え、かつて一世を風靡(ふうび)した超人気シリーズでありますから、球数は市場に相当出回っている筈。いわゆる古書店価格までせり上がってしまっている事はありますまい。ブックオフの廉価文庫本コーナーを丹念に探せば、全巻揃いの状態に戻すのもそれ程難しくはないでしょう。書籍を整理すると、こうした蒐集に関するモチベーションも上がるものであります。

 昔読んだ本の再読は、その本の内容を思い出すにとどまらず、読書していた頃の心情や、記憶まで辿る事にも繋がります。嗚呼、ちょっと面白そうでありますね。ま、俺も歳をとったぜという話に過ぎないのかも知れませんが、書庫の整理&書籍の修繕も意外なメリットがあるというお話でありました〜。Copyright (C) by Yas / YasZone

【つづく】

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