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  フロントバッグ使用のススメ  

 徒然

 ちょっと前に、ロードバイクのピンクちゃんにフロントバッグを装着する事でランドナーとしての機能を持たせ、宿泊ツーリングに活用しようと考えているお話をさせて頂きました。あくまでも、ナップサックに代わる荷物運搬メソッドとして導入したのですが、使ってみてこりゃビックリ!精神的な効用すら(もたら)してくれるではありませんか。

 そもそもロードバイク自身レースの為に開発されたモノであります故、様々な余分な機能が削ぎ落とされ極限まで動力性能が高められています。ですから、一旦ロードバイクに跨がるや否や、パフォーマンスの高い走りをしなければ恥ずかしいという一種の強迫観念に囚われてしまっていたのも、無理からぬ事かも知れません。雑誌にしても、かなり本格的なトレーニング法に言及している記事が多く、ユル目なのは山と渓谷社の季刊「自転車人」位。私も柔道部出身ですので、こうした追い込み型のトレーニングを否定する気はありませんよ。しかしストイック過ぎる志向は、アラフィフのオサ〜ンの趣味としてはどうだろう、と疑問に思えるのも事実であります。

 見知らぬローディーに必要以上の対抗心を燃やして自己の能力以上に頑張り過ぎてしまったり、どんなにキツい坂道でも足をつくまいと虚勢を張ったりするのは、こうした強迫観念故の行動でありましょう。勿論、たまにはこうした体育会系のノリも悪くはありませんが、四六時中となるとねぇ。

 ところが、ロードバイクにフロントバッグを装着して走ってみたところ、こうした無用な呪縛から解き放たれた自分が居る事に気がついたのであります。別にレースをしている訳でもなし、ましてや選手である訳でもなし。ロードバイクに乗っているからと云って、高効率な走りを強いられる必要なんて無いのであります。フロントバッグをつけておりますと、トコトコと自分なりのペースで走っていても誰も気にしていない感じが伝わって参ります。これは以前小径折り畳み車のチビ号でお出掛けした時に感じたフィーリングに似ているかも知れません。いずれにしろ、何の気負いもなく出掛け、自分のペースでゆっくり走れるのは、肉体的のみならず精神的にも本当に楽であります。

 そうなんです。思い起こせば、私は速く走る為にロードバイクを買ったのではなく、この高効率なマシンが、最も楽に最も疲れが少なく遠くまで移動するのに適していたから、購入に至ったのでありました。嗚呼、こんな根本的な事を、いままですっかり忘れてしまっておりましたよ。頑張る必要など無かったのです。トコトコ進めば良いのです。その事を周りに伝える為の象徴的なアイテムとして、フロントバッグの使用はとても有効なのでありました。Copyright (C) by Yas / YasZone

【つづく】

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