日、犬のこむぎと散歩をしておりましたら、多摩動物公園近くの程久保川で、小学校低学年と覚しき利発そうな男の子と、その父親と思われる生真面目そうな男性が会話をしているところに出くわしました。格好や雰囲気が、何とも云えず垢抜けた感じが致します。おそらく彼らは、都心から動物園に遊びに来たのでしょう。私の住む日野市は一応東京都には属しているものの、首都東京のイメージからは程遠い田舎エリア。都心の住民とは格好も雰囲気も全く異なるのであります。
ほらパパ、川にカモが居るよ。
そんな筈はない。ここは東京なんだ。野生のカモなんて居る訳ない。
でもカモだよ。図鑑で見たのと同じだもの。
だとしたら動物園からすぐ近くだし、逃げ出したのかもな。
何羽も居るよ。そんなにまとめて逃げ出したのかな。
それも不自然だな。やっぱりカモじゃないと思うよ。
鴨のような見た目で鴨のように鳴く動物がいたら、大抵の場合それは鴨である。
小川哲著「地図と拳」(集英社)からのお言葉です。京王線に乗れば僅か30分で新宿に出られる立地にしては、多摩丘陵の自然が色濃く残るこの地が気に入って、我々はここに家を建てたのでありますが、都心にお住まいの方々から見ると、ここが一応都内である事と、実際には田舎そのものの風景である事が、中々頭の中で結びつかないのでしょうな。
それを理解した上でハッキリと申し上げます。どう見てもカモに決まってるじゃん!
【つづく】
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