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  今週のお言葉  

 前から不思議に思っていた事なのですが、自動二輪車は二人乗りまで、原付車は一人乗りのみと定められているにも関わらず、自転車は6歳未満の子供に限り運転者と併せて3人乗り(幼児2名)が認められています。これは平成21年の道路交通法の改正により変更されました。当時は「自転車は歩道を走るモノ」という風潮でしたから、3人乗りの認可に踏み切ったのでありましょう。安全性よりも、育児の利便性が優先された形です。

 ところが最近、自転車走行レーンの整備が進んでいて、「自転車は車両として車道の左側を走行するモノ」という意識が定着してきました。以前は我が物顔で歩道を走行し歩行者に対してリンリンとベルを鳴らしていた自転車も多数見られましたけれども、最近は歩行者を見ると車道に降りる自転車も増えました。現行の道路交通法では、自転車は車両として車道を走行するのが原則であるが、安全を確保する為に歩道を走る事も出来る、となっているようであります。

 ここで問題なのが右側の歩道を走行する自転車の存在です。道路交通法では自転車が歩道を走行する際、左右どちら側の歩道を走行すべしという規定がありません。道路右側の歩道を走行する事は、それが安全確保の目的であり、歩行者を妨害しない範囲においては合法なのです。

 先日、多摩動物公園近くの歩道を犬のこむぎと散歩しておりますと、前方から親子三人乗りの自転車が走って参りました。歩道の幅は1m程度しか無くそのままではすれ違いは困難な状況です。歩道と車道はガードレールで分けられています。

 自転車は私とこむぎを見て、ガードレールの切れ目から車道に降りて、我々を回避しようとしました。しかしそもそもその自転車は、進行方向右側の歩道を走行してきていたのであります。つまり、車道に降りたその自転車は、幼児2人を乗せたまま、二車線ある車道右側を逆走している事になります。

 しかも自転車と我々の間の路肩には、宅配便のトラックが停車していたのでありました。自転車は車道の右側を逆走しつつ停車中の宅配便のトラックをかわそうと、よりによって前方の安全を確かめもせず車道の中央線付近まで(はら)んだのであります。

 私の側からは宅配便のトラックの死角に入っていて自転車は見えません。と、そこへ私の後方から一台の乗用車が走ってきて、停車中の宅配便のトラックを追い越そうとしました。これはまずい!心臓がドキンと音を立てた気が致しました。

 これは愚行というより狂気と呼ぶべき事態ではないだろうか。

 小崎哲哉著「続・百年の愚行」(紀伊國屋書店)からのお言葉です。乗用車はキキーッというスキッド音を響かせながら反対車線にはみ出して、何とか自転車をかわしました。当の自転車をよく見ると前後の幼児たちにヘルメットを被せていません。しかも母親の背中には、赤ん坊がおぶわれている状態ではありませんか。ノーヘルの4人乗りの逆走だった訳であります。

 今回は幸いにして事故には至らなかったものの、まさに危機一髪でありました。こういう無法走行の自転車を取り締まって、厳罰に処して頂きたいものであります。Copyright (C) by Yas / YasZone

【つづく】

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