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  今週のお言葉  

 職活動中のお若い方と話す機会があって、グループディスカッション中にメモを取っていたら、面接先の担当者から「君はやる気があるのか?」と云われたそうなのであります。

 学生さんや、仕事の経験の浅い方は、「仕事が出来る人間」=「スタンドプレー的に目立った動きをする人間」という誤った認識を持ってしまっている事が多いように感じます。グループディスカッションを始める前に、各自の役割を決めようという段で、無理矢理「司会者」を買って出ようとする勘違い系熱血君というのは、昔から居たわけですけれども、本来こうした「司会者=ファシリテータ」は議事の安定進行のみに注力すべき存在。自分の考えを伝える程度なら良いとしても、ファシリテータ本人が会議そのものを自分の思うままに振り回そうとするならば、それは大いなる間違いであり、単なる迷惑野郎に過ぎない事を知るべきです。

 会社は営利団体でありますから、営利を追求する為に人材を組織し適所に配置しています。リーダがその職務権限内で決定を下す場合、それはリーダ本人の責任の元に決めれば良いだけで、合議制である必要性はありません。リーダは孤独な存在、と云われる所以です。結論ありきで、思うままに振り回そうという会議それ自体が、やる必要のない無駄なモノである事を知るべきでありましょう。

 ブレーンストーミングなど、有効なアクションや解決方法を洗い出そうという会議において、リーダや王様は不要です。各々がフラットな立場で意見を出し、それを書記が分かりやすく書き留める。更にそれに対する新たな意見を出し、全体的にアイデアをブラッシュアップしていく。司会者=ファシリテータは、こうした作業課程において、コスト(経費)、ベネフィット(利益)、スケジュール(納期)の概念がきちんと組み込まれているか、アイデアばかりで実現性の乏しい、いわゆる暴走状態に陥っていないかを淡々とチェックするというのが、正しい会議の進め方。

 すぐに意見を出さずにきちんとメモを取り、それを元に自分の考えを練るのも立派な会議の姿勢であって、デカい声でさしたる考え無しに思いつきを発表しまくる勘違い系熱血君よりも、よほど建設的であると申せましょう。

 30歳そこそこの担当者は、こうしたきちんとした仕事をした事がない、ペイペイだったのでしょう。とは云え私の所へ相談に来たその若者は相当凹んだようで、顛末(てんまつ)を涙ながらに語ってくれたのでありました。

 気にすることはないさ。やる気なんてものは、誠実な仕事には全く邪魔な存在だよ。

 森博嗣著「少し変わった子あります」(文藝春秋)からのお言葉です。降る雪や昭和は遠くなりにけり。昭和はおろか平成も終わって令和に入ったというのに、いまだにこんなポンコツ野郎が面接の担当者をやっているというのは、会社としてお里が知れようというもの。システム手帳を会議の予定で一杯にすることだけに注力し、忙しい忙しいという口癖の元、仕事が出来ると勘違いして自分に酔えるのは、ある意味幸せな事かも知れませんけれども、こういう阿呆とは一緒に仕事をしたくないものであります。

 これから就職を考えているお若い人に是非ともお伝えしたいのは、やる気なんて曖昧なものに振り回される必要などないという事実です。誠実にクライアントの意向を汲み、コストとベネフィットと納期が最適になるように効率的に計画を立て、それを粛々と進め、きちんと各所への報告を欠かさない。若者達よ、こういうまっとうな社会人を目指して下さいね。Copyright (C) by Yas / YasZone

【つづく】

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