で知らない人に声を掛けられやすい人というのは確かに存在します。こんな風に断言するのは、私がそうだからであります。特に、外国の方から声を掛けられる率が高いのです。それにしても、何故、私ばかり声を掛けられるのか、考えてみても謎は深まるばかり。
声を掛けられる時は何となく予感がするものです。妙にキョロキョロしている外国人が居るなぁと思っていると、ピっとこちらを見てニコリと笑顔を見せ、あ、これは来るな、と感じた途端スタスタとこちらに近づいて来る、というのがいつものパターン。私は決して人相の良い方ではなく、むしろ強面と呼んでも差し支えないくらいですので、日本人のお若い方から声を掛けられる事はほとんどありません。こんな面ですが、外国人から見るとフレンドリな印象なのでしょうかねぇ。
はい、御用でしょうか。
原田マハ著「リーチ先生」(集英社)からのお言葉です。10年程前までは、電車の乗り換えについてや、道を聞かれる事が多かったのですけれども、スマホの普及によりこの手の質問は自己解決出来るようになったようで、最近一番多いのは、「ここは神社ですか、それともお寺ですか」という類の質問であります。彼らも、来日に際して、お寺と神社は参拝の作法が異なる事くらいは事前に調べてある模様。しかし両者の違いとなると、分かりにくいようなのです。
This is Meiji-Jingu shrine. At a shrine, bow once in front of the Torii-gate
before entering. Then wash your hands and mouth at the Chozuya. And bow
twice, clap twice, and bow once before leaving. On the other hand, in a
temple, only pray and bow without clapping.
ここは明治神宮です。神社では鳥居の前で一礼し、手水舎で手と口を清めます。二礼二拍一礼です。一方お寺では、手を合わせて、お辞儀をするだけで、柏手は打ちません。
私の経験上、このように、神社やお寺での簡単な作法を尋ねる外国人の方が増えているように思います。浅草寺で盛大に柏手を打っている日本人の若い衆に比べれば、外国人の方が日本の文化に対する意識は高いくらい。
あ、そうそう、「はい、御用でしょうか」は、Can I help you? ですが、相手が英国人の場合は、May I help you? と云った方が受けが良いようです。米国人と英国人を見分ける方法は簡単です。誤解を恐れず申し上げれば、襟のあるシャツを着て長ズボンを穿いているのが英国人観光客で、冬でも短パンTシャツで闊歩し、それでいて全く寒そうな様子が無いのが米国人観光客であります。
【つづく】
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