朝、犬のこむぎを連れて散歩に出ます。4Km〜6Km程、多摩丘陵の林の中を歩くのです。程久保基地の周りにある里山の多くは広葉の落葉樹林で、一面に降り積もったフワフワの落ち葉の上をカサカサと進んでいきます。こむぎはこのカサカサが大好きで、心なしかウキウキしているようですよ。
このところ冬型の気圧配置が続いている事もあり、放射冷却により落ち葉にはビッシリと霜が降りています。夏と異なり雑草もなく見通しの利く林の中を、こむぎは楽しそうに歩きます。確かに寒いですけれども、虫が居ないのが良いですよね。残念ながら日野市全域で焚き火が禁止されておりますからキャンプは出来ないのですが、それが惜しい程のキャンプ向きの環境。
極寒の砌ながら雲ひとつなく冴えて、いかにもさにふさわしき日和であった。
浅田次郎著「一路(下巻)」(中央公論社)からのお言葉です。寒い中、思い切って出て来て良かったと思える瞬間です。清冽な空気を感じ、枯れ葉を踏みしめて林を歩く行為は、精神をリフレッシュさせる効果に満ちていそう。こんな場所に毎朝散歩に連れてきて貰えるこむぎは、大層な果報者(果報犬)である筈なのですが、彼女にとってこうした林の中の散歩は毎日の事とて単なる日常に過ぎず、都心の飼い犬らと比較してどれ程恵まれているか、考えもしないのでありました。
【つづく】
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