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  今週のお言葉  

 ロキャンプの醍醐味とは、ズバリ孤独を楽しむ事だと私は考えております。独りで焚き火をし、独りで食事を摂り、独りで読書をし、独りで寝る。私はかみさんと暮らしておりますので、孤独な時間自体が貴重であったりするのですが、例えば独り暮らしの方にとっても、自然の中で独りで過ごす事は、日常生活における独りとは全く異なる行為であると申せましょう。会社で打ち合わせをしたり、コンビニの店員に話し掛けられたり、といった当たり前のコミュニケーションが、ソロキャンプには全く存在しない訳ですからね。

 特筆すべきソロキャンプの喜びと云えば、早寝かも知れません。私の就寝時刻は、日常的に午前2時頃。それがソロキャンプの場合、特に日の短い秋の夜には、午後9時と云えば寝袋に入ります。先だって野営した青野原オートキャンプ場は道志川沿いに位置しており、川のせせらぎを聞きながらの入眠はまさに至福でありました。

 静けさというのは、不思議な言葉だ。それは、なにもないことを表すもので、闇と同じ現象を示しているのに、無ではない。静けさがそこにある、という感覚を人間に与える効果がある。

 森博嗣著「人間のように泣いたのか?」(講談社文庫)からのお言葉です。実際には川のせせらぎや虫の音が聞こえるのに、それを「静けさ」と認識するのは、よく考えてみれば不思議な現象と申せましょう。完全な無音よりも自然な環境音に包まれていた方が熟睡出来るのは、我々の遺伝子に刻み込まれた本能の一つなのかも知れません。

 私の友人のU氏は、日曜の午後3時過ぎまで仕事をした後、車でキャンプ場に移動して夕方から焚き火と野営を楽しみ、翌朝一番で撤収して仕事に戻ると云った弾丸キャンプすら(いと)わない、強烈なソロキャンプ・フリークであります。氏にしても、自然な環境音に包まれて熟睡する事に、多くの幸せを感じているのだと想像されます。

 最近では環境音を再生し入眠をサポートするスマホ・アプリが出回っているそうでありますが、実際のソロキャンプのような効果は望めそうもありません。自然な静けさとは音だけの問題ではなく、山の清冽な空気感であるとか、焚き火の(かぐわ)しい香りであるとか、テントの心地よい閉塞感であるとか、様々なファクタが複雑に絡み合ったモノだと思うからです。

 現在私は準繁忙期に入り、19連勤のまっただ中。こういう時こそソロキャンプに出掛けてリフレッシュを図りたいものですが、今は黙って眼前の作業をこなしていくしかなさそうでありま〜す。 Copyright (C) by Yas / YasZone

【つづく】

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