みの日というと、かみさんと一緒に車で出掛ける事が多く、50歳を過ぎて夫婦仲良く暮らせているのは喜ばしい事な訳ですが、秋晴れの日などは、本当はドライブではなくサイクリングに出掛けたい気持ちも無いと云えば嘘になります。
かみさんは、私の趣味については全面的に許容してくれていて、好きな時に自転車で出掛けても、新しい自転車を買っても、文句を云われた事など只の一度もありません。ホントに有り難い話です。しかし私としては、サイクリングと同様にかみさんとのドライブも楽しいものですから、休日を如何に過ごすかという問題にいつも悩まされているのでありました。
もし、かみさんが自転車に乗るようになれば、晴れたら一緒にサイクリング、雨が降れば一緒にドライブ、という具合に、常に休日を一緒に過ごす事が出来ましょう。しかしかみさんは、頑なに自転車に乗る事を拒むのであります。趣味を押しつけるのがナンセンスであるのは、十分に理解していますよ。それにしても彼女の場合「自転車って疲れるし、足が太くなるから嫌」という考えに凝り固まってしまっていて、いくら私が「新しい自転車を買ってあげるから、マングローブバイクスに行こうよ」と誘っても、聞く耳すら持たないのでありました。
疲れてしまうような峠道に誘ったりしないし、長距離をゆっくり走る行為は逆に足を細くするんだよ、と説明してもダメ。きちんとしたスポーツ自転車を買えば、ママチャリの半分以下の重量しかないし、ビンディングペダルに慣れればもっと楽に漕ぐ事が出来るよ、という話にも全く乗って来ません。
ミルクを飲んでいる赤ちゃんにモルトウィスキーのおいしさを伝えることと同じくらい無理のあることなのかもしれない。
水野仁輔著「幻の黒船カレーを追え」(小学館)からのお言葉です。一度乗ってみれば好きになると思うんだけどなぁ。思いこみだけで自転車を拒絶しているとすれば、これ程勿体ない話もありませんけれども、趣味の無理強いは出来ない以上、自転車の楽しさを語りつつ遠回しに誘い続けるしか方法が無いのでありました。
【つづく】
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