陰様で、今年も何とか、恒例の夏の繁忙期を乗り越える事が出来ました。実はこの繁忙期入りの直前、7月の初め頃に、突然歯が痛くなったのありました。5年程前に治療した部分の詰め物が緩み、内部で炎症が発生したのであります。神経に直接触れるような部分ですからその痛みは強烈でありましたが、何しろ一旦繁忙期が始まってしまえば歯医者に行く余裕など全くありません。やむなく暫定的な治療を施したのみで穴を仮に塞ぎ、本格的な治療は9月以降に持ち越される事になったのであります。

　幸いな事に、この暫定処置のまま歯が痛む事は無く、そうしてみると人間というのは実に現金なもので、9月に取ってある歯医者の予約の事など、すっかり失念していたのであります。あれから既に1ヶ月半が経過しているにもかかわらず、何の痛みも無いのです。もしかしたら、このまま歯医者に行かなくても良いんじゃね？

　歯医者に行かなければ悪い歯は治らない。

　佐藤正午著「ありのすさび」（岩波書店）からのお言葉です。そうなのです。根本的な解決がなされていない以上、それは完治ではなく単なる小康状態に過ぎないのであります。7月の初めに歯が痛くなった際には、「この痛みが取れるのであれば何でもする」、という心持ちだった癖に、暫定治療により痛みが取れた途端、急速に関心を失ってしまうのは、人間の傲慢さそのものと云えそうです。

　歯医者に行かなければ悪い歯は治る筈がありません。歯医者通いは面倒そうですけれども、再度痛くなる前に、きっちり通って完全治癒を目指そうと思いま〜す。

【つづく】

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