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  今週のお言葉  

 島情勢が悪化しております。米国のトマホークミサイルによるシリア・アサド政権軍への攻撃や、大規模爆風爆弾兵器MOABでのアフガニスタンのIS拠点への攻撃は、いざとなったら実際に攻撃するもんね、オバマ政権の時とは違うもんね、というトランプ大統領の意思表明でありましょう。

 シリア政府軍もアフガニスタンのISも、米国に対して報復攻撃が出来るような状態ではありませんから、米国からの一方的な、いわゆる懲罰的攻撃で終わりましたが、このままのロジックで北に対峙するのは無理があるというものです。イージス艦や巡洋艦や駆逐艦を含む空母カールビンソンを中心とする船団を北上させたり、といった威嚇行動は、中国に仕事をさせるという意味でも、ある程度必要かとは思いますが、米軍が実際に攻撃行動に出るのは最後の最後でありましょう。

 たくさんの長距離砲(大砲)や短距離ミサイルを持つ相手に対して先制攻撃を仕掛ければ、近隣国である韓国や日本の被害は甚大になる事を避けられません。ソウル市内は大砲の射程内ですし、日本にしたって短距離ミサイルをいっぺんに複数弾打たれれば、PAC3程度の迎撃システムでは打ち漏らしが発生するのは間違いないでしょう。

 米国の圧力を受けて中国が経済制裁、具体的には石油の禁輸に踏み切れば、おそらくはチョロチョロとロシアに救いの手を求めるしかないのでしょうが、当のロシアにしたって、米国第七艦隊が臨戦態勢をとっている状況下で、大っぴらに経済支援や武器の支援など出来ますまい。

 こうなると相手にとっても八方塞がりな訳で、今我々日本人が最も警戒すべきは、サリンを東京に撒くとか、原発などの施設を爆破する等のゲリラ的テロリズムでありましょう。市民を人質にとって自分たちに有利に交渉を進めるという作戦は、相手の常套手段であります。また同時に、こうした事件をきっかけに、反戦ムードが立ち上がりやすいのが現代日本人の気質であるのも事実。当然相手もその事を熟知していて、日本に対する市街地テロなら反撃は食らわないだろうし、もしかすると反戦意識に基づく太陽政策が享受出来るかも知れないと、勘違いすらしかねません。だとしたら、少なくともこうしたテロに対してもっともっと高いレベルで警戒に当たるべきではないでしょうか。

 人間は共通の文脈がない種族を恐れる。

 辻村深月著「凍りのくじら」(講談社)からのお言葉です。一般的に国家百年の計という言葉が御座いますけれども、本来、国家は100年後を見据えて舵を切る必要があります。直近数ヶ月の事しか考えない短絡的な国家の行動を、我々の常識で推し量る事は不可能でありましょう。私は決して好戦的な人間ではありません。しかしここまで共通の文脈を見い出せない相手に対峙しなければならないとしますと、力でねじ伏せる事もやむ無しという気持ちになってしまいます。

 ところで、戦略原潜ミシガンを釜山に寄港させたのは、ちょいとやり過ぎのような気もします。攻撃型原潜ならともかく、戦略型原潜は、長期間深海にボトムして、不特定の位置からいつでもミサイルを打てるというのがその機能であった筈。隠密行動が基本のこうした艦を浮上させるのは、自らの攻撃オプションを矮小化させる事と同義でありましょう。日本の海上自衛隊も護衛艦さみだれ、あしがらを空母カールビンソンに帯同させていますが、ここまで相手を追い込んでおいて、トランプ大統領にしろ安倍首相にしろ、この幕引きをどうするつもりなのでしょうか。引くに引けないところまで追い込まれて、開戦やむなしという判断をせざるを得なくなった真珠湾攻撃の状況に似ていて、ちょっと怖い気が致します。Copyright (C) by Yas / YasZone 

【つづく】

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