事で使っているメインマシンは、インテルCore i7ベースのDELLコンピュータ製のデスクトップ機で、OSはWindows7 Professional
Edition 64bit版。私自身はこのスペックに全く何の不満もないのですが、MicrosoftはWindows10への移行を急速に進めたい様子で、このところ、Windows10への無償アップグレードの勧誘ダイアログがしょっちゅう立ち上がっておりました。バージョンアップが簡単で安全である事を強調しておりますけれども、経験上、OSのアップグレードなどという大掛かりな仕掛けが綺麗にきちんと行われた経験なんて、少なくとも
Microsoft のプロダクトにおいては皆無。普通に考えて、デバイスドライバなどハードウエア・オリエンテッドなモジュールの動作に、保証など有る筈もありません。マシン購入時にはWindows10なんて影も形も存在しなかった訳で、その古いハードウエアがもれなくWindows10への対応を取っていると考える程、私はお目出度くはないのであります。現在のマシンはWindows7機として購入した訳ですから、ハードウエアが使い物にならないほど陳腐化したりWindows7のメーカーサポートが終了したりした場合は、潔く最新版OS対応のニューマシンを購入しようというのが、私の基本的なポリシーであります。
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詐欺っぽく、アップグレードが
自動的に始まってしまいました |
ところがご多分に洩れず、ちょっとしたオペレーションの勘違いで、Windows10へのアップグレードが実行されてしまったのであります!ちょうど今は夏の繁忙期に当たり、今PCに不具合が出る事は何としても避けなければなりません。何回か再立ち上げを繰り返しながらWindows10のアップグレードインストールは進んでいきます。このクソ忙しい時期にインストール画面につき合わなければならないだけでも大打撃だというのに、あ〜あ、やっぱり〜!永久ループに入って固まってしまいましたよ。ハードディスクへのアクセスランプが点滅していますから、完全なフリーズでは無いのでしょうが、「もう少しでインストールは終了します」という表示のまま、かれこれ4時間が経過。埒が明かないので、仕方なく、恐る々々ハードウエアリセットを掛けてみたのでした。
ちぇ、恐れていた通りです。マシンは立ち上がりません。ちくしお、ビルゲイツめ!どうしてくれるんだ!NAS(ネットワーク・アタッチド・ストレージ=LAN上のディスク装置)にアプリケーションデータがミラーリングされているので、お客様の情報やメールのデータが失われる事はなく、その点では安心なのですが、メインマシンが使えないのでは仕事にならないではありませんか!
既に夜中の3時。何とか明日までには復旧させないと。万が一の為に用意してあった、Windows7を強制的に立ち上げる、復旧用USBメモリを利用して、セーフモードでのスタートアップにトライします。ふう、最低限のオプションで立ち上がる事は立ち上がりました。不具合の原因を特定すべく、一つ一つシステムログを探ります。何と!!AMD製のRadeonHDディスプレイドライバが、エラーを吐いているではありませんか。私のメインマシンはディスプレイを2台接続していて、その2台の画面を横断的仮想的に一つのディスプレイ空間として動作するようにエミュレータが走っているのですが、そのドライバがきちんとアップグレード出来ていないようなのです。おいおいビルゲイツ、全然安全で安心の自動アップグレードじゃないじゃねぇか!AMDのサイトから最新の英語版の64bitドライバを入手。しかし肝心のWindows10が立ち上がっていない為に、インストーラが動きません。仕方がないので、サブマシンのノートPCでインストーラを逆アセンブルし、インストールロジックを解析。その情報に従って、無理矢理ファイルをコピーし、レジストリを手でエディットします。かなり危険な行為である事は分かっていますが、他に方法がないのですよ。ミスは絶対に許されません。作業チェックリストを作り、再確認まで済ませました。これで良い筈。満を持してマシンをリブートします。南無三!立ち上がってくれ〜!
初期化する訳じゃない。再起動するのだ。
福田和代著「リブート!」(双葉社)からのお言葉です。結果としてこれらの措置は奇跡的に上手くいき、Windows10が正常に立ち上がりました。細かい不具合は有りますが、この程度であれば一つ一つ潰していけるでしょう。それにしても、ユーザの意志に反して自動的にOSのアップグレードが始まっちゃったり、そのアップグレード自体がループして止まっちゃったり、はっきり云って、こりゃ訴訟もんですぜ。たまたま私の前職がIT技術者だったから何とかなったものの、普通なら完全にお手上げの場面。セキュリティを考えればアップデートも重要ですけれども、これだけ複雑に様々なハードウエアが使われているマシンが、簡単に一発でアップグレード出来ると考えるなんて、Microsoftって何て脳天気な会社なのでしょうか。
あの悪夢の自動アップグレードから3日。ドットネットフレームワークに起因する細かいトラブルや、VB6.0ランタイムルーチンに依存する古いアプリケーションの動作不良、Windows10で廃止されてしまったデスクトップガジェットを復活させるなど、全ての細かい不具合を完全にクリアする事が出来ました。結果としてWindows7よりもWindows10の方が多少動作が軽い事が分かりました。と云ってもベンチマーク・ソフトで計測して数パーセント速くなった事が分かるだけで、ハッキリと速さを体感出来る程ではありませんがね。
とは云え、OSは最新版の Windows10 Professional Edition 64bit版にアップグレードされた訳で、メーカーのOSサポートが延長されたのは、喜ばしい事であります。あ〜、それにしても疲れた〜。
【つづく】
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