が自転車に目覚めた頃、サイクルジャージにピチピチパンツという出で立ちに、妙な恥ずかしさを覚えたものであります。ましてや、すね毛を剃るなど変態の極みだと考えておりました。それが今では当たり前になってしまって、何の恥じらいも感じないのであります。サイクリングの格好のまま、SPDシューズをカチャカチャ鳴らしながら、コンビニは当然としてほとんどの場所へ入っていけるまでになりました。勿論、汗臭さで周りに迷惑を掛けないような配慮は当然でありますし、こうした運動の格好がそぐわない場所に、無理矢理入ったりはしませんよ。しかし、照れや羞恥の心は、既に完全に無くなったと云っても差し支えないでしょう。

　実際に走って早いかどうかは別として、周りから見れば私も一丁前のローディに映るのでしょうなぁ。どういう心境の変化があったのか全く意識しないうちに、いつの間にかローディとしての「らしさ」を身につけてしまったようであります。

　「らしさ」とはどんな風にして醸し出されていくのか。

　上橋菜穂子著「明日は、いずこの空の下」（講談社）からのお言葉です。かつて複数の自転車雑誌を毎号購入していた状態から一転、最近はこうした新しい情報から完全に遠ざかってしまっています。トレンドも分かりませんし、製品情報にも疎くなりました。部品の購入はタイヤやチューブなどの消耗品ばかりで、それも店には出掛けずネットで調達するのみ。以前あれほど物欲の嵐に揉まれていたのが、まるで嘘のようであります。

　だからと云って自転車熱が冷めてしまった訳では決してなく、100Km程度のミドルサイクリングには出掛けますし、ローラーゴンゴロも続いております。グランフォンド八ヶ岳（108Km）に今年もエントリしましたよ。趣味として枯れてきた、というのが最も近い表現かも知れませんね。私ももうすぐ50歳。こうした落ち着き方も、あながち悪くはないかなと考えているのでありました。

【つづく】

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