年末にJR豊田駅前にオープンしたばかりのイオンモール多摩平の森に、先日かみさんと二人で出掛けて参りました。特に用事があった訳ではありません。たまにはこういった大型ショッピングモールをブラブラ冷やかしてみようか、という趣向であります。
豊田駅前という立地ですので、郊外型の店舗のような広大な平面駐車場を持っていない代わりに、建物の4階以上を立体駐車場とした造りになっています。それでも駐車キャパシティが1000台との事ですから、かなりの規模の設備であります。入口で駐車券を取り、螺旋状に上の階に向かいます。電光掲示によりますと既に4階は満車のよう。案内に従って5階まで上がって車を停め、エレベータで売場まで降りてみます。
いやあ、広い店内ですなぁ。1階はイオンのスーパーマーケットとフードコートがどーんと入っています。2階3階部分は吹き抜けになっていて、お洒落な専門店がずらっと並んでいます。吹き抜け部分には橋状に渡り廊下が接続されており、向かい側にショートカット出来る造りです。出来たばかりという事もあって、どこもかしこもピッカピカ。お客さんもたくさん居て、非常に活気に満ちています。
特に用事の無いかみさんと私は、様々なお洒落な店舗を冷やかしつつ、書店で立ち読みしたり、お揃いの木製コーヒーカップを買ったりした後、食料品を購入する為にエスカレータで1階に降りました。食料品については私は全く不案内なのですけれども、かみさん曰く冷凍食品はPB商品(プライベートブランド商品)を中心にかなり安いとの事で、がっちりまとめ買いをしておりましたよ。
一通り買い物が済んで、さあ帰ろうかという事になりました。エスカレータで一つ上の階に上がり、渡り廊下を渡ってエレベータホールに出て、エレベータで4階に上がって、停めてあったヴォクシー号に荷物を積み込もうとした時です。
「ねぇねぇ、Yasちゃん」
「ん?な〜に?」
「Yasちゃんってこのお店に来た事あるの?」
「ないよ。今日初めて来たんだよ」
「ホント?」
「うん。なんで?」
「だって普通にスタスタ歩いてエレベータに乗って、何の迷いもなく駐車場まで戻ってきたでしょう」
「そりゃそうさ。来た道を戻っただけだもの」
「私はダメ。Yasちゃんが居たから車に戻れたけど、自分一人だったら絶対戻れなかったもん」
「だってそんなに複雑な造りじゃないぜ」
「え〜!スゴい複雑だよ〜。渡り廊下が有ったりして、途中から全然分かんなくなっちゃったんだ」
「でもさ、何となくあっちが北だな、とか本能的に分かるでしょ?」
「そんな動物的な勘なんてゼロだよ〜。あと何回かはYasちゃんと一緒に来なくちゃ、一人じゃ買い物に来れないよ〜」
元来私は、磁石の方角を直覚する感官機能に、何かの著しい欠陥をもった人間である。
萩原朔太郎著「猫町」(岩波文庫)からのお言葉です。文献によると脳には顕著な男女差が存在し、特に女性は、空間認識力や方角把握能力が男性に比べて弱いそうであります。ま、あくまでも一般論でしょうがね。それにしても家の近所のショッピングモールで、停めた車に自力で戻れないって、Kazちゃん、いくら何でもちょっとヤバくね?
【つづく】
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