転車はエコでお金が掛からないなどという嘘を真しやかに云い切る人がいらっしゃいます。ちょっと待った〜!金掛かりますってば、自転車は。私はロードバイクを2台、折り畳み小径車を1台所有しておりますが、いやはや勘定するのがちょっと怖いくらい、これらのマシンには多大なる資金が投入されております。欲しい機能の為にお金が遣われるのは別に良いとしても、欲しいパーツを導入した代わりに外されてパーツ箱に投げ込まれたままになっている、部品達はちょっとした問題なのでありますよ。
壊れたから部品を買うのではなく、ちょっと格好良いから買う、ちょっと軽いから買う、カーボンだから買う、チタンだから買う、アルマイト加工品だから買う、というダラケた物欲により増殖してしまったパーツ達。一つ一つはそれ程高価なものではないにしろ、まとまるとちょっとした金額になります。ひゃあ、かみさんには云えませんわな。
こんな事を5年以上続けてきた故に、私のパーツ箱はかなりの充実度を誇っております。でも自転車雑誌を読むと、更に新しいパーツが欲しくなっちゃうんだなぁ。冷静に考えればそんな部品など新規に買う必要なんて全くないのです。現状、運転に支障があるような故障や不具合が存在する訳でもなし、もし有ったにしろパーツ箱にしまわれていて今は使われていない部品在庫の数々をもってすれば、大概の故障やトラブルは十分に解決出来得る筈なのです。
嗚呼、パーツ箱のあれらの部品達さえ無ければ、何の躊躇もなく新型のパーツを購入出来るのに・・・。使える部品を所有しているにも関わらず更にパーツを買う行為には、背徳感がつきまといます。勿体ないオバケが出るぞ〜!
思考の整理には、忘却がもっとも有効である。
外山滋比古著「思考の整理学」(ちくま文庫)からのお言葉です。そうなのです。パーツ箱の存在自体を忘れちまえば良いのです。そうすれば新しい部品の購入は、無駄遣いでも背徳行為でもなく、機能向上の為の純粋なる投資と云い切る事が可能となるのです。
このような人倫に反するプロセスを経る事で、私のパーツ箱は更なる進化を遂げて行くのでありました。あ、この話、かみさんには絶対に内緒にしといて下さいネ。
【つづく】
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