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  今週のお言葉  

 近の若い者ときたら・・・といった言い草は、オサ〜ンになった(あかし)そのものであると云われます。ところが最近の若者の動向を見ておりますと、少なくとも私には、逆に彼等が妙に大人に感じられるのです。いや、むしろ、若者らしさに欠けると形容し得るくらい、緻密に周到に狡猾に行動しているようにすら思えます。

 私は当時、将来設計など全くせずに、その日その日を生きておりました。中学の担任の先生に勧められるままに深く考えもせず地元の県立高校を受験し、いざ高校に入れば勉強もせず楽しく仲間と部活に明け暮れ、さしたる考えもなく理系を選択。共通一次試験もノリでこなし、運良く現役合格出来た長野にある大学へ進学して、独り暮らしを満喫しつつバイトに精を出しておりました。かみさんと知り合ったのもちょうどこの頃の事。いつでも一緒に過ごしていましたよ。会社の将来性や業界でのポジションや想定される生涯賃金など全く考慮せず、自分のやりたい職種であるという理由だけで都内の某IT企業に就職。そうこうする内に、約7年間の交際期間を経て、当たり前のようにかみさんと結婚。3年間ほど夫婦二人の蜜月生活を満喫し、その後二人の息子を授かりました。転職したり、自営業者として独立したりというプロセスがあって、現在に至ります。

 将来設計など無かったと云っても、決してチャランポランに生きてきた訳ではありません。いやむしろ、高校も大学も推薦ではなく一般受験でしたし、コネを使って就職した訳でもない。その瞬間その瞬間を精一杯生きた事は、おそらく間違いないのです。しかし最近のお若い方のように、調査に調査を重ねた就活をした訳では決してなく、将来や老後の事まで見据えて婚活に励んだ訳でもありません。勧められるまま進学し、興味のあった職種を選んで、好きな娘と結婚しただけ。そもそもあの頃は、30歳代40歳代になった自分の姿やそれを取り巻く状況なんて、全く意識していませんでしたもの。(いわ)んや老後の自分をや、であります。

 キキは驚いて声をあげました。自分が年をとるなんてことは、まだ一度も考えたことがなかったのです。

 角野栄子著「魔女の宅急便-2-キキと新しい魔法」(角川書店)からのお言葉です。若いというのは素晴らしいですなぁ。ただ真正直に、がむしゃらに生きる事が出来ましたものね。今となっては良き思い出であります。ただ、今から同じ事をもう一度やれと云われたら、はたして自分に出来るかどうか・・・。大人の狡さってヤツを身につけちまいましたからなぁ。

 不景気という事もあるでしょうが、今時の、就職活動に(いそ)しむ若い人たちの大企業志向の強さに、ちょっと異常なモノすら感じます。勿論ある程度の安定は必要でしょう。しかし、そもそも過度な安定を企業に求めるのはナンセンスであります。企業など、本来、諸行無常の最たるモノだった筈。自分を養ってくれる保護者ではありませんし、定年まで安定的な雇用を保証してくれる親切な仲間でもありません。単なる営利の為の集団に過ぎませんから、例え一度は就職を果たしたとしても、集団の営利に寄与出来ないと分かれば捨てられるのは必定。結局のところ、自分自身にどんなスキルがあるか、周りに何が提供出来るかによって、自分を取り巻く状況は変わってくる筈なのです。ただ、与えられた日々の作業をこなせば良いという訳でもありません。当然、働きながらの勉強や切磋琢磨も必要でしょう。だからこそ、どの企業に属しているかよりも、もっと自分の興味のある「職種」を優先して考えるべきなんじゃないかなぁと思うのです。いくら給料が良くて、安定的であったとしても、それが好きな仕事でなかったら長続きする筈がありませんものね。

 折角の若さなのですから、あまりチマチマと緻密に周到に狡猾に行動するのではなく、思い切って自分のやりたい事をやってみれば良いのに。若くて、やり直しもきいて、扶養家族も居ない。失うものなど何もない状況で、彼等は何を恐れているのでしょう。ま、こんな説教を垂れる事自体、オサ〜ンである証拠なのですがね。とにかく、頑張れ、若い衆!!Copyright (C) by Yas / YasZone

【つづく】

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