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  今週のお言葉  

 私は転職を2回経験しています。大学を卒業して、まず就職したのは国内のIT企業。そこでシステム開発の経験をつんだ後、外資系企業のIT部門からのオファーを頂いて1回目の転職をしました。現在はその外資系企業を辞めて自営業者となり、お陰様で早11年目。今回は初めて転職した際のお話をさせて頂きます。

 転職のきっかけは、会社のデスクの直通番号に入った一本の電話でありました。「はい○○株式会社Yasで御座います」と電話に出ますと、こちらが日本語で応対しているにも関わらず、相手は英語で押し通してきます。あのね、ここ日本なんですけど。そもそも何でデスク直通電話の番号を知ってるのさ。相手が頑として英語で喋ってくるので、仕方が無くこちらも英語で応対しますと、ある米国企業があなたを中途採用したいと云っている。私はその企業の人間ではなく、イーストウエストコンサルティングという人材コンサルティング会社の者だ。今はすぐにあなたの転職の意思確認をしようとしているのではない。しかし、もし少しでもこの話に興味があるのであれば、四谷麹町にある我々の日本支社にコンタクトを取ってみて欲しい、との話でありました。

 今考えてみますと、相手方はあの電話で私の英語力を測っていたのかも知れません。とにかくこうした電話をきっかけとして、自分なりに色々調査し、悩み抜いた末に、結局、転職に踏み切ったのであります。専門であったIT系のスキルについては、ずっと前線でバリバリ仕事をしていた事もあって、それなりに自信を持っておりました。ただやはり心配だったのは英語。いきなり電話をかけてきて、こちらの英語力を試してくるような会社です。きちんとコミュニケーションが取れるのだろうか。何とか米国人スタッフとの意志疎通をはかるしかないとしても、やはり母国語とは違って手間も掛かるしストレスも多いでしょう。考えれば考える程、心配の種は尽きないのであります。

 不安要素はそれだけではありません。生え抜きだった元の会社と違って、いわば外人部隊的に雇用される訳ですから、もし使い物にならないと判断されたら即座に切り捨てられる事は確実。少なくとも数カ月以内に、誰が見ても分かる成果を上げる事が求められます。様々なネガティブな思いが頭をよぎります。このようにして、転職を決意するまでには多くの時間が必要とされたのでありました。

 明滅の滅を力に蛍飛ぶ

 俳人 正木浩一氏の句であります。実は私は氏の句集を持っておらず、昨年の12月26日付の読売新聞のコラムに載っていたものからの引用です。

 蛍が飛び立つ時のように、人生において大きな決断を求められる場面では、ネガティブな考えが後から後から湧き出て参ります。細かい事までクヨクヨと気になってしまって、中々決断に至らないもの。しかし後になって冷静に考えれば、完璧に円満な状態での決断などあろう筈もなく、もし仮にそのような場面が存在したとしても、(おご)りにより失敗する結果になる可能性が高いだろう事は容易に想像出来ましょう。心配な事象が残っているからこそ、我々は細心の注意をもって事に当たるのであります。そしてこうしたネガティブな要素をも包括した上での決断こそが、成功への礎石(そせき)となり得るとも申せましょう。

 大阪に住む私の友人にこの句を捧げたい。彼女は今まさに就職についての大きな決断をしようとしています。勿論、そこには幾つかの不安要素が存在し、それらが彼女の最終的な決断を躊躇させているらしい。しかし完全に円満な状態での決断などそもそも存在し得ない訳ですし、現時点である程度不安要素が洗い出せているという事は、正常な調査・判断プロセスを経て注意点や改善目標も明確化されているという事ですから、少なくともデシジョンの下地は十分に整っていると云えると思うのです。

 突き詰めればこれらは彼女の人生の話であり、私やかみさんは傍観者に過ぎない事は分かっています。しかし彼女の決断が結果として如何なる形に落ち着こうとも、その結論を祝福し心から応援したいと、彼女の友人である我々は考えているのでありました。Copyright (C) by Yas / YasZone

【つづく】

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