陰様で「今週のお言葉」の連載が4年目に入りました。2010年9月3日(金)の第1話発表以来、今回で何と134話!我ながらよく続くものであります。
文章を書くという手間も手間ですが、そもそもこれだけの書籍に目を通しているというのも、冷静に考えますとスゴい話。自分では普段、結構忙しく立ち働いている心算でいるにも関わらず、何だよ自由な時間が十分にあるじゃんかよ、という感じであります。実際には決してそんなに暇な訳では無いつもりなのですがね。読書量だけみれば、相当な暇人と思われても仕方がありませんなぁ。
私はブッキッシュな人間でありまして、活字が無いと生きていけない程。トイレに行く時も布団に入る時も電車に乗る時も、必ず何らかの書籍を読んでいます。う〜ん、ちょっと変態っぽいですね。けれども知識欲に溢れているという訳ではなく、あくまでも単なるエンタテイメントとしての読書ですから、あらゆるジャンルの本を満遍なく乱読する傾向が強かったり致します。こうした物量作戦的読書習慣において、時々キラリと光る表現、いわゆる珠玉の言霊に遭遇する事があって、それが「今週のお言葉」の元ネタとなっているのでありました。
人類による最大の発明は「言葉」かも知れないと、最近とみに考えます。アイデアなり意見なり情景なり感情なりを他人に伝える事の出来るツールとしての「言葉」があるお陰で、我々の文明は成り立っているのであります。そりゃ言葉が無くても一応はコミュニケーションを取る事は可能ですよ。しかしそれは犬との間のコミュニケーションの様に、その場限りのモノに過ぎません。コミュニケーションを次々と連鎖させ情報を伝播させる為には、言葉の存在が必須なのであります。
死者と繋がり、まだ生まれ来ぬ者たちと繋がるために、ひとは言葉を生み出した。
三浦しをん著「舟を編む」(光文社)からのお言葉です。言葉は、時間を超えてのコミュニケーションをも可能にします。先人たちの考えを知る事も出来ますし、まだ見ぬ子孫に我が心持ちを伝える事も出来るのです。それだけじゃありません。未来の私自身に対してメッセージを残す事すら可能。言葉は空間をも時間をも超越する存在なのであります。
私が毎週書き連ねているこの駄文集も、もしかしたら未来において、どなたかのお役に立てるかも知れません。サーバにデータを置いて検索や閲覧が可能な状態にしておけば、少なくともその確率はゼロではない。そう考えると、なんとなく、もうちょっとだけ頑張ってみようかな、という気になるのでありました。
【つづく】
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