事柄ミーティングの機会は割と多く、そのアポイントメントの調整は、ほとんどの場合メールで行われます。仕事のメールですので割と堅めの文章になるのは、当然の事でありましょう。と云っても非常識なまでにガチガチなメールなどでは御座いませんよ。あくまでも社会人として常識的な程度の文面であります。
件名:ミーティングアポイントメントの件
○○様
お世話になっております、△△のYasで御座います。ご連絡頂きありがとう御座いました。ご希望通り以下の日程でミーティングをアレンジ致しました。
■日時:○月○日○時より
■場所:弊社会議室にて
宜しくご確認下さいませ。○○様のお越しをお待ちしております。 |
だいたい上のような文章。ま、いたって普通のアポイントメント確認のメールですよね。こうしたメールに対して「ミーティングの件、承知しました。宜しくお願い申し上げます」といった感じの返信があるのが普通です。ところが最近、こうしたメールのやりとりに変化が現れつつあるのですよ。殊に女性の方に、その傾向が強いようなのです。
先日、上のようなアポ確認メールの返信として、次のようなメールを受け取りました。私としてはちょっとしたカルチャーショックだったのであります。
「あざーっす」? 最初は何の事か分からなかったのですが、高校生の運動部員が多用する、”ありがとう御座います”の短縮形、あざーっす、であるようです。それにしても、「確認しましたっ」の小さな「っ」をつけるあたりとか、この場面で「(笑)」をつける感覚は、ほとんど学生のノリでありましょう。あのですね、これ、メル友同士のやりとりではなく、あくまでもビジネスの連絡なのですよ。私はアラフィフのオサ〜ン、先方はアラフォーの女性の方なのですよ。う〜ん、ここまで行くと、どう反応したら良いのか分かりません。ま、私の仕事の業態はBtoCでありまして、専業主婦の方であれば、ビジネスでのメールのやり取りはほとんど無いのは分かりますが、それにしてもねぇ。
私の知らないうちに、こうしたメールのやりとりを標準的と考える社会人が、一定の割合で存在する様になったという事なのでしょう。と云いますのも、こうしたノリのメールを受け取ったのは、実は一度だけではないのであります。こうした表現がまかり通る現実を嘆く貴兄は多かろうとは思います。しかし今回私は、ちょっと違う感想を持ったのでありました。
確かに表現にはちょっと吃驚致しましたが、好意的に捉えれば、こちらからのメールに対しレスポンス良くリコンファームしてくれていますし、そもそも「あざーっす」は一応は謝辞であります。多忙を理由に中々メールに返信してこない人っていますよね。返信を催促した上でやっと必要以上に慇懃なメールが返ってくるよりも、例え表現はフランクであっても、すぐに「ありがとう」の意を伝える方が、余程、常識に沿った行動であるとも思えるのです。やはりビジネスにおいて返事=レスポンスの迅速さはとても重要。今回の一件を受け、まずはすぐに感謝の意を伝える事を最優先し行動しようと、改めて再確認した次第であります。
すぐにそうした方がいい。感謝の念というやつは、半減期が短いからね。
トマス・ハリス著、高見浩訳「羊たちの沈黙」(新潮文庫)からのお言葉です。まさに至言ですな。その事に気付かせてくれた今回のメールに感謝であります。でも、いきなりの件名「あざーっす」には吃驚したなぁ。
【つづく】
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