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  今週のお言葉  

 上の息子は高校三年生で、一応一丁前に受験勉強に(いそ)しんでおりましたが、お陰さまで今週の水曜日に、第一志望の大学から無事何とか合格通知を頂きました。この4月から晴れて彼も大学生の仲間入りであります。

 彼の通う事になる大学は府中刑務所のすぐ隣。程久保基地からは10Km弱の道のりですから十分に通学範囲内であります。自宅生として家から通うのが一般的な選択でありましょう。しかし、本人ともかみさんとも話をし、この春から下宿させる事に致しました。彼にとっては勿論初めての独り暮らしであります。

 独り暮らしはお金が掛かります。金銭的な負担を考えますと、自宅から通学させる方がかなり楽な事は確か。それでも敢えて下宿させる道を選んだのは、ひとえに、彼に男としての独立心を(つちか)って貰いたかったからであります。

 独り暮らしは不便です。自分が洗濯をしなければ着ていくシャツがなくなってしまいますし、生活費のやりくりを間違えたら月末まで水だけで生きなければなりません。しかし、黙っていても衣食住が保証される実家で生活する便利さは望むべくも無い代わりに、無制限に享受出来る自由があります。こうした生活を18の歳に経験する事は、必ずや人生の(かて)となると思うのです。彼とて将来は嫌でも女房子供を養っていかねばならぬ訳ですから、今は難しい事を考えずに純粋に自由を謳歌して貰いたいのです。思い起こせば私も、こうした自由な生活の中でかみさんと出会ったのでありました。楽しかったなぁ。私自身が経験した素晴らしき濃密な時間を、是非とも彼にも味わわせてあげたい。

 大学三回生の春までの二年間、実益のあることなど何一つしていないことを断言しておこう。

 森見登美彦著「四畳半神話大系」(太田出版)からのお言葉です。大学の授業で得られる知識など極々(ごくごく)限られています。極端な話、実益を求める事など一切しなくても構わないとさえ思うのです。人生には、無為な時間を過ごす事自身が、大いなる生産の為の充電として働く時もあります。大学で本当に得て欲しいのは形式的で矮小な技術知識などではなく、底抜けに自由な経験からしか生まれない、本当の独立心だと思うのです。


 これから素晴らしき青春の時間を過ごすであろう我が息子よ、大学合格おめでとう。父は君の合格を本当に嬉しく思う。これから始まる君の新生活の為に、父の小遣いの減額は避けられまいが、父はそれでも構わない。底抜けな自由を謳歌し、若いうちの貧乏生活を大いに楽しんでくれ給え。学生時代におけるこうした経験が、大人になれば良き思い出となる事は間違いない。嗚呼、新しいステージに向けて船出する君が、羨ましい限りだ。Copyright (C) by Yas / YasZone

【つづく】

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