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  今週のお言葉  

 浅川沿いを高尾方面に向かって自転車で走っておりました。都立富士森高校のあたりで、見たところ60歳台と覚しきお二人が自転車を停めて何やら修理している様子。お二人はご夫婦でありましょう。ゆっくり近づくと、どうやらパンクのようであります。

 「お手伝いしましょうか」と声を掛けますと、奥さんから「すみません、助かります。何しろうちのお父さんブキッチョで」とのお言葉。ところが旦那さんの方は、「いや大丈夫だ。すぐに直る」と云いながら後輪をいじっています。お揃いのクロスバイクで、タイヤは700Cですが28mm幅位でしょうか。バルブはフレンチタイプ。私の持っている予備チューブは23mm幅用なので、この自転車への流用は無理そうです。旦那さんは、パンクした後輪をフレームから外そうとクイックを緩めはしたものの、ブレーキシューが引っ掛かってホイールが外れず悪戦苦闘していたのでありました。無理にガッツンガッツン引っ張っています。おそらくはパンク修理の経験が無いのでありましょう。

 「ねぇねぇお父さん、ちょっと見て貰いましょうよ」と奥さんが再度云うと「うむ」と旦那さんも仰っいましたので、「予備のチューブはお持ちですか」とお尋ねすると「いや持っていないんですよ」との事。私はパナレーサー製のイージーパッチを持っていましたので、「おそらく手持ちの道具で直せると思います」と告げ、Vブレーキのワイヤをガイドからリリースし、ホイールを外しました。

 タイヤレバーでさっとタイヤを外し、チューブを引き出して軽く空気を入れてみますと、ああ、やっぱり小さな穴があいています。タイヤの当該箇所を裏から触ると、案の定、ガラスの小片が刺さっていました。これがパンクの原因でしょう。ガラス片を取り除くとタイヤ側の損傷はほとんど有りませんでしたのでタイヤはこのままで大丈夫でしょう。チューブをパッチで修理して、今度はタイヤレバーを使わず、手でクルクルっとタイヤをリムにセット。携帯空気入れである程度の圧を掛け、チューブの噛み込みが無い事を確認の上、二酸化炭素のボンベでブシャウっと一気にエアを充填しました。

 修理時間3〜4分。ご夫婦は私の作業を驚きの表情で見つめています。私も最初の頃はモタモタしていてもっと時間が掛かったものであります。やはりこういう事は経験を積むしかないんでしょうなぁ。あ、二酸化炭素は普通の空気よりも抜けやすいので、帰宅したら改めて空気を入れ直して下さいとお伝えしておきましたよ。そのままにしておくと、2〜3日で萎んできてしまいますからねぇ。

 「あの〜、もしかして自転車屋さんの方ですか?」と旦那さんが尋ねてきました。いやいやしょっちゅうパンクしている、ただのオサ〜ンで御座いますよ。

 一握の蔑みもないといえば嘘になるが、微笑ましいと思っていることは確かだ。

 鹿島田真希著「冥土めぐり」(河出書房)からのお言葉です。不慣れなうちって、ある程度手慣れた人を見ると、神レベルに見えちゃうものなのかも知れません。例えばスキーでもそう。プルークボーゲンしか出来ない初心者から見れば、SAJ2級のスキーヤーも国体レベルのスキーヤーも、同じように「物凄く上手い人」としか映りませんもんね。

 それにしても私ごときの修理でこんなに感動して頂けるのなら、マングの大将の手際を間近で見たら、まさに魔法だと思うに違いありません。ま、あのレベルの手際の良さを私に望むのは無理にしても、一応は、多少なりとも人助けが出来て、ホッとしたのでありました。Copyright (C) by Yas / YasZone

【つづく】

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