転車雑誌を眺めておりますと、そこかしこに様々な魅力的な部品が掲載されています。しかもその一つ一つにウンチクやらインプレッションやら性能比較やらが付記されていて、あ〜もう、どうにかなっちまうんじゃねぇか、と思う程の物欲の嵐に見舞われる事もしばしばなので御座います。特に私は理系出身と云う事もあり、振動吸収性やら剪断応力やらといった材料工学的な説明をデータ付きでされたりしますと、コロリと参ってしまうのでありました。
現在メインマシンとして愛用しておりますクロモリオーダーフレームのピンクちゃんは、非常に乗りやすく、大いに気に入っているのですが、そこはホレ、隣の芝生は青いと云うではありませんか。クラシカルなクロモリのホリゾンタルフレームの対極をなす、グラマラスなカーボンフレームにちょっと惹かれるものがあったりするので御座いますよ。うふふ。仕方がないやね、浮気は男の甲斐性って云うじゃない。
カーボンフレームはたくさんあるけど、やっぱ国産の安心感は格別だしブリジストンアンカーRMZ-Frameが良いかなぁ。寸法は当然として、剛性も指定出来るみたいだしね。あんまりフニャフニャじゃ嫌だけど、ちょっと柔らかめ位の感じのフレームを試してみたいネ。フレームがグラマラスだから、ホイールもディープが似合うよね。ライトウエィトのカーボンディープをチョイスしたとして、こりゃ相当なインパクトだよ。こんなスゴい機材で峠で足着く訳にもいかねぇしなぁ。でもおいら貧脚だし、こうなりゃ走行性能というよりも、見せびらかし用マシンに特化しちゃおうかな。とすりゃ思い切ってコンパクトをやめてノーマルクランク入れて「コンパクトだとアウター×12Tでも使い切っちゃうんだよね」なんてホザいてみたり。しかも電動デュラエースを奢ってね。「電動は変速が早いからアタックが掛けやすいね」なんて云っちゃったりして。うんうん、だとすりゃ、こりゃもう、絶対に平地しか行かないで、しかもスピード出せない多摩サイ限定。自転車も多いから見せびらかし甲斐があるというものさ。多摩サイなら25Km/h以下で流していても、許されちゃうしさ。値段はそうだなぁ、フレームだけで約50万円だから、ホイールとか、カーボンハンドルとか、フィジークのサドルとか、電動デュラとかで、ま、120〜150万円ってとこかな。アソスのジャージ着て多摩サイ流せば、こりゃちょっとしたもんですぜ。うししし。こんくらいの機材ともなりゃ、乗らなくてもコイツを肴に一杯やれるってもんだぜ。あ〜あ、宝くじでも当たらねぇかなぁ。
現実的に夢を見なさい。
辻村深月著「鍵のない夢を見る」(文藝春秋)からのお言葉です。いやぁ、敢えて何も云いますまい。現実的なんてクソ食らえ!何と云われても、秋の夜長は、雑誌を眺めながらの物欲妄想に限りますってば。フフ。
【つづく】
「今週のお言葉」の目次に戻る
「やすなべの目次に戻る」