のお話で触れておりますプーリーとは、自転車の後輪の変速機で使われている直径3cm位の歯車の事でありますよ。
あ、お客様。プーリーをお探しですか。コンポは何をお使いで。ふむふむシマノでいらっしゃる。105ですか。え。アルテグラ。グロッシーグレーのヤツと。これはおみそれしました。電動ではないんですね。はは。いえ別に。電動が全てという訳ではありませんからね。嫌味という訳では御座いませんよ。で今日はどのような。はぁ。プーリーが磨耗。樹脂製部品ですからね。シマノのスモールパーツはこちらになります。でもですね。しかしですね。あのお客様。ちょっとだけ、お時間大丈夫でしょうか。はい。と言いますのも。プーリーは非常に重要な部品で御座いまして。ええ。グレードによって大きな差があるのですよ。摩擦抵抗を考えますとですね。105は論外で。え。まあ論外は言い過ぎとしましても。でもでもでもでもお客様。105はガイドプーリーもテンションプーリーもブッシュ式で。はい。ベアリングではなく。ええ。ですから抵抗が。それはもう信じられないくらいの。ですからお客様。え。アルテグラの。今のと全く同じ型番をご所望。うわわわん、聞いて聞いてよお客様。実は実は実は。アルテはベアリングは片方だけで。もう片方はブッシュ式という中途半端な。是非ともここは思い切ってデュラエースのプーリーを。はいはいはいはい。勿論ガイドプーリーもテンションプーリーもベアリング式。クルクル回るぞデュラデュデュデュ〜。ぐふふここだけのお話ですがね、お客様。アルミのプーリーはいかがでしょう。KCNCのこのアルマイトの輝きと言ったら!プーリーボルトも是非ご一緒に。こういう細かいところに差し色を使うのがオシャレなんですってば。おおおおおお。お客様、お目が高い。TNIのセラミックカーボンプーリーで御座いますか。うひうひうひ。目立ちますバッチリ目立ちます。たかがプーリーされどプーリー。分かる人には一目で分かります。100m先からでも。ホントですってば。大袈裟で云ってるんじゃありません。100m先のプーリーを見分けるのが本物のオタクというもの。だからだからだから。ね、ね、ねねね、ね。買いましょう買いましょう。プーリーを買いましょう。私ならそうですねぇ。私ならどれにするかな。やっぱKCNCかな。でもデュラの変速性能はピカイチだし。うむむ。悩みますよねお客様。アルマイトの輝きかな。そだよねやっぱ目立つしね。もしも、もしも私が選。
聞いてない誰もそこまで聞いてない
オタク川柳(学研パブリッシング刊)からのお言葉です。自転車でも何でも、オタクと呼ばれる方はたくさんいらっしゃいまして、お気持ちは分かるんでありますが語り始めたらどうにもこうにも止まらないのでありました。自分もこういう風にならないように気をつけなきゃね。
あ、分かっちゃいると思いますが、このお話はフィクションでありますよ。こんな店員、実際にいる訳ないじゃあ〜りませんか(笑)。ま、居たら居たで、意気投合してしまいそうな予感が致しますが・・・。
【つづく】
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