帯電話のアラームを止めて布団の中で小さく伸びをします。カーテンの隙間からは朝日が射し込んでいて、今日も良い天気のようです。時刻は朝の6時半。一緒の布団で寝ていた犬のこむぎに、「こむ、散歩行くか」と声を掛けますと、グッスリ寝ていた筈の こむぎは一瞬で飛び起き、尻尾をちぎれんばかりに振りながら、嬉しさのあまり布団の周りを走り回ります。

　のそのそとジャージに着替える私を急かすように、まとわりつく こむぎ。毎朝の光景です。別に特別楽しいところに出掛ける訳ではありません。朝の散歩は45分〜1時間、ルートはその日によって異なりますが、多摩動物公園の裏山や明星大学の裏山に散歩に行くだけなのであります。昨日も一昨日もその前の日も散歩に行ったじゃん。なんで毎回、そんなに嬉しいんだよ。

　今日と明日は全然違う。明日っていうのは今日の続きじゃないんだ。

　森絵都著「カラフル（理論社）」からのお言葉です。そうなんです。我々人間は、どうしても惰性で過ごしてしまいがち。でも本当はそれではいけないのです。ただの一日とて同じ日などと云うものは存在せず、故に今日もまた、新たな一日を経験出来る事を感謝しつつ過ごすべきなのであります。こむぎの純粋な喜び様を見て、こうした根本的な事に、改めて気付かされました。

　散歩から帰ったら腹一杯ご飯を食べて、ちょっと猫どもと遊んだ後、こむ毛布の上でお昼寝するのが、毎朝のこむぎのルーティン。仕事をしないで済むって羨ましいねぇ。もし次に生まれ変われるとしたら、こむぎに生まれ変わるのも悪くねぇなと思ったのでありました。

【つづく】

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