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  今週のお言葉  

 実は最近、不思議な現象が続いております。新しいクロモリのロードバイク、ピンクちゃんを手に入れてから約9ヶ月。自転車に対する物欲が、鎮静化しているのでありますよ。

 複数の自転車雑誌を読み漁り、次から次へと欲しい部品が現出。まさに物欲番長化していたあの頃を、妙に懐かしく思い出します。決して自転車に対する熱情(パッション)が冷めてしまった訳ではありません。否、むしろ逆。自転車でお出掛けしたい願望は、以前よりはるかに昂進しているのでありますからね。

 ワイズロードでピナレロ号を見た瞬間、まさに一目惚れ。一種運命的な出会いを感じたものであります。私の周りにも自転車購入の経緯をあたかも恋人との出会いや恋愛に(なぞら)えてお話しされる方は結構いらっしゃいますから、一目惚れしたという意識は、あながち私だけが抱く感情という訳では無いでしょう。自転車との出会いは男女の出会いに酷似しているのかも知れません。

 当初、そのあらゆる仕様に満足していたピナレロ号でありますが、徐々に不満と申しますか、もうちょっとこうだったら良いのになぁという部分が鼻について参りました。当然と云えば当然です。ピナレロ号はマスプロダクト品の完成車として販売されていた訳で、最大公約数的な仕様に落ち着くのは、むしろ必然と申せましょう。購入者全員が100%の満足を抱くなどと云うのが幻想に過ぎない事は、自明であります。

 対してピンクちゃんは、私の為だけに設計され、私の為だけに組み立てられたフルオーダー品です。私がピンクちゃんに一目惚れしたのではなく、私の好みに従ってピンクちゃんが造られたのですから、細かい部分に対しても非の打ちどころが無い事は当然とも云えます。出会う前から惚れる事を保証されていたという訳であります。

 しかも、マングの大将くらいのプロフェッショナルになりますと、私がピンクちゃんに乗る事によって受けるであろう影響を予測し、それを加味した上で、ピンクちゃんの仕様を決定するという、いわば再帰処理的な仕様検討すらしかねませんからね。故に、時間が経過しても不満が全く出てこないのでありましょう。一見アイスが大好きなだけのオサ〜ンに見えますが、彼の能力はハンパ無しなのであります。

 浮気は論外です。でも、本気なら仕方がないと思います。

 東野圭吾著「夜明けの街で(角川書店)」からのお言葉です。どこへ行くにもピンクちゃんと一緒。ここまで入れ込む姿を見れば、ピナレロ号もきっと気持ちよく諦めてくれるでしょう。現在、ピナレロ号はローラー台専用車として、悪天候時のお供となって働いてくれております。イタリアの宝石とまで呼ばれるピナレロ号を家の中だけで使う事に対する是非はともかくとして、ある意味、きちんと棲み分けがなされている訳でありまして、これはこれで正しい"複数台所有"の形かも知れませんね。

 それにしても購入後一年近く経っても物欲が励起されない程きっちり仕様を決定してくるあたり、マングローブバイクスYasZpne以外のサイトにジャンプしますの大将の能力たるや恐ろしい程でありますよ、いやマジで。Copyright (C) by Yas / YasZone

【つづく】

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