転車は車両だから車道左側を走行すべし。こうした道路交通法の大原則が最近になってようやく見直され、ロードバイクが車道を走る事が一般に認知されるようになったのは大変喜ばしい事であります。ちょっと前までは自転車は歩道を走るモノという間違った認識をお持ちのドライバーも多く、後ろからクラクションを鳴らされ「チャリは歩道に上がれ!!」と罵声を飛ばされたり、ひどい事例になりますと幅寄せをされたりといった事が実際に行われていたのであります。
私は自転車のみならず、車もオートバイも運転致しますので、例えば速度差のある(車の流れに比べて遅い)自転車が車道を走行する危なっかしさや、わざわざ車線変更してこうした自転車を抜かねばならない煩わしさも知っています。ですから例え自転車の車道走行が道路交通法で認められていたとしても、そもそもが自分は周りから見れば迷惑な存在である事を忘れないように、肝に銘ずるようにしているつもりであります。走行を許されている事と、走る権利がある事とは別だからです。道路には、自転車、車、トラック、原付スクータ、オートバイが同時に存在し、それらの常用速度や加速特性はそれぞれ異なる訳ですから、ロードシェアリングの精神無くして、安全性の確保は難しいでしょう。
私は自転車で西に向かう際、甲州街道(国道20号)をよく利用しますが、東(都心方面)に向かうには、甲州街道を敢えて避けるようにしています。と云いますのも、甲州街道の立川から東側の区間は、極端に路肩が狭いのであります。路肩がほとんど存在しないと云っても過言ではありません。更に各車線の幅も一般の道路より狭いのであります。こうした区間を自転車で走ろうとしますと、後続車に多大な迷惑を掛けてしまいます。遅い自転車を抜く為にわざわざ車線変更を強いられるのは、車やトラックにとってストレス以外の何者でもないでしょう。しかも甲州街道は交通量も多く比較的速い速度で流れていますから、車線変更には相当気を使わねばなりませんしね。
車線幅が普通にあると同時に路肩に余裕があれば、自転車の車道へのはみ出し幅を狭く維持さえすれば、自車線内で抜いて貰う事も可能でしょう。しかし甲州街道の東区間は、物理的にそれが難しいのであります。
実はこれには簡単な回避方法が存在します。甲州街道を使わずに、一本北側の東八道路を使えば良いのです。東八道路は比較的新しい道で、車線幅も路肩も十分に取ってあります。自転車はこちらに進路をとるだけで、不要なトラブルを回避し後続車への迷惑を最少に抑える事が出来るのです。確かに甲州街道は自転車走行禁止の道路ではありません。でもだからと云って、自転車が走行する権利が優先される訳では決してないのです。特に集団走行においては、甲州街道を外したルーティングをするなど、ロードシェアリング実現の為にロードバイク側に出来る事はまだまだありそうです。
大事なルールほど、法律では決まってないのよ。
伊坂幸太郎著「モダンタイムス(講談社)」からのお言葉です。法律は明らかな犯罪行為の判断をする為の決め事ですから、法律に触れなければ何をしても良いと云う考え方からは、互いの軋轢が生まれこそすれ、建設的な解決方法は生まれようが無いでしょう。
だからこそ法律を拡大解釈して権利を主張するのではなく、互いの快適性や安全性を実現する為の具体的な方法を模索し続けて行きたいと思うのであります。走行ルートの工夫もその一つ。だってそれこそが「大人の行動」ってヤツじゃないっすか。いい歳こいたオサ〜ンである我々が大人の行動を取れないとすれば、存在価値はゼロになっちまいますもんねぇ。
【つづく】
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