の芽時という言葉が御座います。元々は樹木に新芽が出る早春の頃を指すのですが、この時期は医学的にもホルモンのバランスを崩す人が増えるのだそうでありまして、体調や精神状態が不安定になりやすいと云われています。社会的にも卒業や入学、就職や引っ越しなどの環境変化が多く、そういう面からも木の芽時にはネガティブな思考に陥る可能性が高くなるのかも知れません。
特にこの春就職する新社会人は、その傾向が顕著になりがちであります。それはそうでしょう。好きなだけ惰眠を貪り暢気に過ごしてきた大学生活に別れを告げ、毎朝早起きをして満員電車に乗って職場に通う事になるのです。初めての仕事への不安も大きいでしょうしね。
思い起こせば私もそうでありました。長野の大学でのんびり過ごす生活から一転、都内のソフト会社に就職し満員電車で通勤する生活に変わったのであります。自分はこんな生活を一生続けられるのだろうか。いや、もしかしたら一ヶ月も保たないかも知れない。そうした漠然とした不安の中、職場では毎日上司や先輩に叱り飛ばされ、しかし初任給は安く、日一日を過ごすのに精一杯であった事を思い出します。
慌てないあわてない、一休みひと休み。
テレビアニメ、一休さんのお言葉です。三代将軍 足利義満や寺社奉行の蜷川新右衛門との直接の親交がある割には、一休さんの居る安国寺は貧乏寺という事になっていたりして、無理な設定がなかった訳ではないのですが、今考えれば非常によく出来たお話でありました。当時小学生であった私は、夢中でテレビにかじりついたもんであります。
慌てないあわてない、一休みひと休み。
番組の途中のコマーシャルに入る際に、この言葉は語られていました。若い新社会人諸君には、一休さんのような余裕ある心をもって木の芽時を乗り切って貰いたいと、オサ〜ンは切に願うのでありました。頑張れ！若い衆！！
【つづく】
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