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  今週のお言葉  

車に乗ってお出掛けです。

 前日の夜更かしのせいで、折角の休日だというのに目が醒めたら既に9時半。2月11日(土)のお話で御座います。この時間では自転車でのお出掛けは無理かなぁ。最近このパターンが頻発。反省しなくちゃ。

 昨夜というか今日の明け方に読み終えたばかりの小説のあとがきを、もう一度読み返したりして布団の中でグダグダしておりましたら、枕元に犬のこむぎがやって参りました。彼女も雰囲気で今日が休日である事を察知したのでしょう。尻尾を振りつつ、"どこかに行きたいよオーラ"を全開にしています。そこで、「高尾山にでも遊びに行くか?こむ」と聞くと「うん行く」と答えましたので、そそくさと着替えて、こむと二人で車に乗り込みました。

 途中のコンビニでこむの好物のチーズパンを購入し、ハイキングの準備は万端。高尾駅前の駐車場に車をデポし、いよいよ出発です。

 こむと一緒に廿里町(とどりまち)の住宅地を歩いていきます。今日は風もなく割と暖かで、絶好のハイキング日和。両界橋までは裏道を南浅川(みなみあさかわ)に沿って進みます。甲州街道に出てからはリール式のリードを短くし、歩道をトコトコと歩きます。それ程交通量は無いのですが結構とばしている車が多いので、要注意の道であります。

 京王線高尾山口駅前からは人出が多く、迷惑を掛けないように細心の注意を払いながら遊歩道を通ってケーブルカーの駅を目指します。こむはほとんど吠えません。噛む事もしません。その点は安心です。でも、もしかしたら犬が苦手な方がいらっしゃるかも知れませんものね。注意を払うに越した事はないでしょう。

尾根沿いの稲荷山ルートを進みます。

 ケーブルカー駅を正面に見て、左側の脇道に入ります。稲荷山ルートです。ここ高尾山には、山頂のビジターセンタに行く為の複数のルートがあり、中でも薬王院を経由する一号路は多くの観光客でごった返しています。今日はこむと一緒ですから、最も人出の少ないルートを選択したという訳です。

 稲荷山ルートに入ってすぐに急な登りが続き、道はみるみる高度を稼いでいきます。高尾山口駅の土産物屋が眼下に見渡せます。ここはハイカーも少ないので、こむのリードを最大限伸ばしてやります。しばらく進みますと、ルート左側下方に、まさに今建設中の圏央道インターチェンジが見えてきました。こうしてみますと高尾の山中にこれだけの建造物を造る必要があったかどうかちょっと疑問になる程。圏央道は渋滞緩和の為に必要である事は認めますが、インターチェンジの位置はここでなくとも良かったのではないかと思えてなりません。

 登り続けますと程なく稲荷山山頂に到着です。稲荷山は東側に眺望が開けており、遙か遠くに西新宿の高層ビル群が霞んで見えます。

 稲荷山からは高尾山南側の尾根を辿るように、道はアップダウンを繰り返しつつも、確実に高度を稼いでいきます。高尾ビジターセンタまであと500mというところで、道がひどくぬかるみ始めました。こむも泥濘の感触が嫌なのでしょう。道脇の草の上を選んで歩いていきます。

稲荷山から新宿を望む。

 最後の木製の長い階段を登りきって、高尾ビジターセンタに到着です。ここっていつでもそうなのですが、稲荷山経由で泥だらけのトレッキングシューズで登ってきた我々に対して、頂上にいらっしゃる方々は呆気ない程の軽装なのであります。中にはハイヒールの女性もいる位。稲荷山や琵琶滝から登るにはそれなりの悪路を覚悟しなければならない高尾山ですが、ケーブルカーやリフトを利用して途中をショートカットし、薬王院の境内を抜けてくる一号路なら、ほぼアスファルトの遊歩道だけで楽にここまで来れるのです。それにしてもあまりの装備の違いにちょっと気恥ずかしい感じが致します。学生時代に、志賀高原の丸池から熊の湯、横手山を通り、芳ヶ平を経由して、クタクタになってやっとの思いで草津白根山まで歩いてきたら、レストハウスの周りにはハイヒールを履いた観光バスの乗客がたくさん居て、汚い格好の我々が白眼視された経験を思い出しましたよ。

 ビジターセンタの脇の石垣に、こむと一緒に腰掛けて、おやつを頂きます。こむはチーズパン。私は明太子おにぎり。こむは一口大に千切ってもらった大好物のパンをお座りして食べています。こむは水、私はホットコーヒーをそれぞれ自分の水筒から出して飲みます。至福。こむは大きなパンを一人でぺろりと平らげました。

 帰りは4号路から分岐して、いろはの森経由で日影沢に下ります。こむと二人だけで歩く人っ子一人いない道。リードを外して自由に歩かせてやりたいのですが、この辺りにはこの時期、イノシシ用のトラばさみ(捕獲用の罠)が仕掛けられている為に、ノーリードは大変危険なのです。何しろイノシシ用の罠ですからね。こむが挟まれたら、簡単に骨折してしまうでしょう。でも、ま、リール式の伸びるリードですから、こむもそれ程不自由を感じてはいないようですが。

帰りの車内にて。
こむは疲れて眠ってしまいました。

 日影沢まで下り、小仏街道に出ました。ここまでくれば勝手知ったる道。こむに「コーヒー飲んで一休みするか?」と聞いたところ「うん」と答えましたので、コーヒー自家焙煎の店ふじだなに立ち寄ってみる事に致しました。

 ここふじだなは自転車ではしょっちゅうも来ているのですが、歩いてくる事は稀であります。マスターも奥さんも「ありゃ、今日は自転車じゃないんだ〜」と驚いている様子。こむはコーヒーが好きではありませんので、私だけホットを注文すると、マスターが、こむにジャーキーを持ってきてくれました。こむは余程嬉しかったのでしょう。尻尾をフリフリしながらも、きちんとお座りして、お行儀良くジャーキーを頂いておりました。

 スキナトキニ、スキナコトヲ。

 三島有紀子著「しあわせのパン」(ポプラ社)からのお言葉です。好きな時に好きな事をする幸せ。こむは、元々、千葉市の保健所で薬殺寸前だったところを縁あって引き取った犬であります。うちに来て良かった。うちの子になって本当に良かった。あの時、まさに幸運とも云える偶然が続かなければ、私とこむとは巡り会えず、故にこんな楽しい経験は出来なかったのだと思うと、何か不思議な感じが致します。

 摺差(するさし)の道を駒木野に向かって下っていたら、「好きな時に好きな事をして遊べるって大層素敵な事だね」と、こむが云いました。私は、「ほんとにそうだね」と答えたのでした。Copyright (C) by Yas / YasZone

高尾山へのハイキングについて
この文章では、こむとYasの高尾山ハイキングについて、軽い気持ちで出掛けたかのように書かれておりますが、これは文章上の表現に過ぎません。実際には、防寒具、余分な食料、十分な水、携帯電話、GPS緯度経度標高計、LEDライト、笛、こむ合羽、こむのうんち袋、国土地理院の地図、使い捨てカイロ等の装備を携帯して入山しております。高尾山は見掛けよりも山深いので、十分な装備で入山する事をお勧め致します。特に、軽装備での午後からの入山は途中で日没を食う可能性があり、大変危険です。絶対におやめ下さい。

【つづく】

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