い歳した大人が、よりによって自転車に夢中になるなんて馬ッ鹿じゃねぇの。・・・ええ、そうですね。至極ご尤もな御意見ですね。分かっちゃいるんですよ。分かっちゃいるんですけど、どうにもこうにも止められないので御座いますよ。私の事をお子ちゃまチックとお嗤いになりますがね、そもそも機材スポーツって、そういう面を色濃く持ち合わせていると思うのです。そして世の男性陣ときたら、こうした機材にのめり込む傾向がとっても強いようなのですなぁ。
ゴルフしかり、スキーしかり。金属で出来たシャモジのお化けを十何本も並べて、スイートスポットだのキャビティだの反発係数だの手元調子だのと蘊蓄を並べる。スキーに至っちゃ単なる板に過ぎねぇってのに、アイロンでワックス溶かしてスクレーパー掛けたり、ヤスリでエッジを88度に研いだり。しまいにゃ「板のチューンナップ」だってさ。包丁研ぐのもチューンナップって云うのかい?
しかも、ゴルフもスキーも自転車もやらない人から見れば、一々驚く程の高額で、更にそいつをしょっちゅう買い換えたくなるってぇんですから、誤解を恐れず敢えて云わせて頂けば、世の男連中はみんな病気に相違ありません。ちなみに前述のゴルフの話、スキーの話は、全て私自身の過去の実体験でありま〜す。我ながら道楽な男でありますなぁ。
近所の自転車用品ショップY'sロードに行きますと、そりゃもう、機材大好きおじさん達で溢れかえっています。何十分間もシートポストを選んでいる人。ステムを物色している人。みなさん一様に目をキラキラさせていらっしゃいます。ご存じない方にご説明申し上げますとですね、シートポストとは、サドルとフレームを繋いでいる「棒」の事で、ステムとは、ハンドルを固定する為の「金具」の事であります。大の大人が「棒」や「金具」を真剣に選んでいて、しかも店員に何やら質問などもしている様子。当の店員は「棒」に関する蘊蓄を語り始め、客はそれに熱心に聞き入っています。しかもこの「棒」が一万円以上するなんて普通の事。冷静に考えれば、ちょっと異常な世界と云えそうです。
ねぇねぇ父ちゃん、これ買ってよぅ。何?そんなに高価いのか。こんなもんは一人前に稼ぐようになったら自分の金で買いなさい・・・・・と云われてたんで、今こそ自分の金で買ってま〜す、という殿方達で、Y'sロードの部品売場は今日も大盛況なんでありました。ふふ、かく言う私も立派なその一人なんですけどネ。
大人なんて結局、子どものなれの果てだもんね。
みうらじゅん著「LOVE」(角川文庫)の中のお言葉です。そうなんです。世のオサ〜ンのほとんどは、普段偉そうにしていても、心は少年のままなのであります。精神年齢は10歳頃で止まってしまっていて、以降全く進歩無し。それと比べりゃ女性って大人でありますなぁ。こうして考えてみますと、普段かみさんに軽く見られがちなのも、仕方が無い事なのかも知れませんネ。
【つづく】
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