ラ携からスマートフォンに機種変更して一番良かったと思う事。それは、躊躇せずに安心して道に迷えるようになった点であります。
自転車でのお出掛けは二つの側面を持っています。一つ目は「運動」です。体を動かす事は無条件で気持ちが良いですし、峠に登れば達成感もあります。私の場合、主にこれを目的として出掛ける事がほとんどな為、どうしても行き先がマンネリになりがち。今日は160Kmほど走ろうと思えば、大月→富士吉田→山中湖→道志街道のルート。2時間で50Km程で更にちょっと峠もと考えれば小仏峠往復という具合に、負荷に応じて既にルートのバリエーションが揃っているのでありますよ。
二つ目の側面は「探検」です。初めての場所に出掛けて色々散策するのは楽しいもんです。ワクワクしますよね。ところが、もしかしたら私のA型という血液型に起因しているのかも知れませんが、初めての場所に行く際に、かなり綿密に下調べしてしまう性癖があるのです。地図でルートを確認するのは勿論、るるぶで見所なんかも調べちゃう。結局自分で事前に練り上げた観光ルートを、丁寧に自転車で辿っていくだけになっちゃうのであります。これじゃ探検という意味のワクワク感は半減してしまいます。
行き当たりバッタリで良いじゃん。みなさんそうおっしゃるのですが、下調べ無しでのお出掛けにはどうしても抵抗が御座いました。家に戻ってこれなくなったらどうしようという不安を払拭し切れなかったのであります。知らない方は「おいおい、たかが自転車で出掛けるだけなのに、戻れなくなるなんて大袈裟だなぁ」とお感じになるかも知れません。しかしですね、ロードバイクに乗って一日お出掛けすれば160Kmなんて普通の距離。道に迷えば家に帰ってこれなくなる事だって十分に考えられるんでありますよ。
ところでスマートフォンって凄いですねぇ。どこにいてもGPSを使ってグーグルマップ上に自分の位置が表示されるんですから。これさえ有れば感性のおもむくまま、好き勝手にポタリング出来ます。だって常にカーナビを持っているのと同じですからね。どんな状態からでも安全に帰ってこれるという訳です。スマートフォンを持つ事で、A型特有の心配性を克服し、安心して探検を楽しめるようになりました。
帰り道の心配がないだけではありません。最寄りのコンビニや自転車店や食堂がいつでも検索出来ますから、補給や休憩についても安心です。こうなりゃもう、スマートフォン無しでは出掛ける気がしません。
知らない街を歩くのは、いつだって素敵なことです。
江國香織著「すきまのおともだちたち」(集英社文庫)からのお言葉です。自転車という乗物には絶妙な速度感があります。自動車やオートバイでは見逃してしまうところもしっかり発見出来る遅さでありながら、歩いていては到底到達し得ない距離を稼げる速さがある。こうした、散策に最も適したアイテムで、初めての街を探検する喜びと言ったら!!
最近では更に高度な楽しみ方を見い出してしまいました。名付けて「迷子ごっこ」であります。知らない道をズンズン進み、わざと迷子になってみる遊び。好きなように進んで好きな場所で写真を撮る。実はスマートフォンの他にGPSロガーも持っておりますので、撮影した時刻と正確にシンクロさせる事で、後でその写真の場所がどこだったのかを簡単に特定出来るのであります。子供のように迷子になっている自分を楽しみつつも、最先端の機器を使って後からきちんと記憶を辿る事が出来る。そんな装備が数万円で手に入るなんて、何と素晴らしい時代なのでしょう!!
さて来週はどこで迷子ごっこを楽しむ事にしましょうか・・・。
【つづく】
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