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  今週のお言葉  

 

 は一人でサイクリングに出掛けるのが好きでして、これはひとえに、他人に気を使わないで済むのがその理由であります。グループサイクリングを好む方々から見れば奇異に映るかも知れませんが、待つのも待たれるのも私にとってはストレスの対象。その点ソロサイクリングは、トコトコと自分のペースで進み、自分のペースで休む事が出来ますので、随分と気楽なのでありますよ。

 複数名で競い合った方が、結果としてアベレージスピードが上がる事は明白であります。運動強度を考えるのであればソロツーリングは分が悪く、だからこそ多くの運動は集団で競い合いながら行われるのでありましょう。例えばプロ野球でも個人単位で行なう自主トレは、本格的な集団練習の下準備という位置付けに過ぎません。競争なしに一人だけでモチベーションを維持し続けるのは、プロでも難しいのでしょうなぁ。

 ソロで走っていても、自分の運動能力の向上を、漠然とであれば感じる事は可能です。しかし他人と競い合う程には、明確にそれを感じる事は困難であります。やはり時々は他人と競い合い、自らを試してみたい。出来得れば、運動能力の向上を具体的に感じてみたい。知り合いの方との競い合いにストレスを感じてしまう私は、多くの場合サイクルイベントに参加する事で、全く利害関係のない見知らぬ方との競い合いを通じて、こうした欲求を解消しているのであります。

 前走者に頑張ってついていこうとする。う、速い。ジリジリと離されていく。追いつけない。こなくそ。でもダメ。相手が見知らぬ人である方が、こうした爽やかな悔しさを純粋に楽しむ事が出来るのです。そうです。純粋な悔しさは、それ自体を楽しむ事が可能なのです。

 僕は悔しさを味わいたくて、日本を出たのだ。

 中村俊輔著、察知力(幻冬舎)の中のお言葉です。誰もが悔しい思いをしたくないと考えがち。でもそれは利害関係の絡む中での悔しさを避けたいだけであって、利害の絡まない純粋な悔しさを感じる行為は、究極のリクリエーションとなり得るのであります。

 私と中村俊輔選手の立ち位置は天と地ほども違います。しかし純粋な悔しさを楽しみたいという欲求は、きっと同じなのでありましょう。しがらみのない世界で競い合う快感。昨今のサイクルイベントの隆盛は、こうした欲求に支えられたモノなのかも知れませんね。Copyright (C) by Yas / YasZone

【つづく】

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