転車でもオートバイでも、一般的に二輪車には、メーカー名が大きく入るのが普通です。私の所有物で例を挙げれば「PINARELLO」しかり、「KAWASAKI」しかり。マスプロダクト品であれば、ある程度納得出来る話ではありますが、オーダー品についてもこの傾向は変わらず、以前からこれってちょっとどうかなと、感じておりました。
考えてもみて下さい。例えばコダワリの注文住宅を建てたとして、住宅メーカの名前が大書されていたとしたら、明らかにおかしいでしょう?壁一面に「積水ハウス」とかね(笑)。でも多くのフレーム工房では、こうした事が普通に行われているのです。
ものに名前が付けば、意味が生まれ認識され、世界が確立する。
桐野夏生著「東京島」(新潮社)の中のお言葉です。メーカー名の大書には、ブランド崇拝の意識がその根底にあるような気がしてなりません。そして一旦ブランド名が冠されれば、そのイメージは一人歩きを始めてしまいます。
こうした一切の既成概念を捨て去るべく、今回のオーダーフレームには、「bomber pro」のメインロゴは入っておりません。こうした注文を快く思わないビルダさんも多いと聞きます。ところが今回、ビルダの井田倫正氏は、私からのこの注文を受け入れてくれました。やはり腕に自信があるからこそなんでありましょうなぁ。勿論、チェーンステー部分の「handmade
by Rinsei」のロゴや、シートステー笹葉の「bomber pro」の刻印は、しっかり入れて貰いましたよ。私としても、井田倫正氏謹製である事は、アピールしたいですしね。
【つづく】
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