イクリングイベントのスタートの前はいつでも、完走出来るかどうか不安になります。例えばグランフォンド八ヶ岳。全長120Kmの山岳グランフォンドでそれなりの距離もありますし、何しろ結構登りがきつい。でも自分の体力を考えれば完走に不安を持つ程ではない筈。前年も完走出来ている訳ですし、120Kmという距離を格段の長距離と感じる訳でもありません。やはりスタート前の独特の雰囲気や緊張感が、漠然とした不安を励起するのかも知れませんね。
こうした不安を感じるのは何もイベントの時だけではありません。一人で行く自転車散歩の時も同様です。ま、さすがに100マイル=160Km以内であれば特段の不安を覚える事は最近では稀なのですが、200Kmを越える行程となりますと大丈夫かなぁと感じる事もしばしばであります。
途中で動けなくなる程疲れちゃったらどうしよう。メカトラブルは起きないだろうか。天候は最後までもつかなぁ。初めての峠だけど登りきれるだろうか・・・。不安に思える要素は様々ありますが、これらをいちいち気にしていても始まりません。
Pursue your lofty Dream with eternal Optimism.
「永遠の楽観主義をもって、気高き夢を追い続けよ」とでも訳せましょうか。クロスカップリング技術で2010年のノーベル化学賞を受賞された米国パデュー大学の根岸栄一教授が、ノーベル賞受賞決定記念の座談会で、現代の若者に向けての一言として発せられたお言葉です。
大丈夫。漕ぎ続けてさえいれば、きっと目的地に到着する。よく考えたらこれほど楽観主義的な発想も無い訳ですが、実際、長距離のサイクリングは、こうした楽観主義の元に成り立っていると申せましょう。千里の道も一歩から。行程があと何%残っているとか、日没まで残り何分とか、不安要素を具体的に解決しようとすれば、多くのストレスが掛かります。そして結果から云えば、こうしたストレスは目的完遂の為にはブレーキになりこそすれ、役に立つ事など一つもないのです。何とかなるっしょ、漕ぎ続けていれば。この楽観的発想こそ、意外にも、千里の道を貫徹する原動力なのでありました。自転車って人生にちょっと似ているのかも知れませんなぁ。
【つづく】
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