呼、あの時こうしておけば・・・。人生って、後悔ばかりなのであります。いかなるレベルのデシジョンにおいても、後悔という奴は我々に付き纏って参ります。ま、私の場合、普通に平々凡々と生きているだけでありまして、大した事を決めたり判断したりする訳では無いのですが、そんな程度のデシジョンにおいても、いつでも後悔の連続なのでありました。よし、あの時はナイスな判断だった!という事など希の希。あん時こうしときゃ良かったかなぁ。クヨクヨばかりで女々しい事、夥しいのであります。
どんな決断であろうとも、後になって「こうであれば」とか「ああだったら」といった「たられば」の話ほど無意味なモノは御座いません。シミュレーションは決断の前にすべきモノであります。こういう、事前に行なうシミュレーションを「検討」と申します。対して後に行なうシミュレーションを「後悔」と呼ぶのであります。分かっちゃいるんですけどねぇ。
そりゃね、私だって事前によ〜く考えてから行動したいですよ。でもね、多くの場合、デシジョンを求められる場面ってのは、時間が無い事が多いのであります。すぐにその場で決めなくちゃ、その話自身が流れちゃう。あたふたしながら考えて、良い判断が出来る訳ないんですが、結局あたふたしちゃうのが常。ちょっと例を挙げてみましょうか。
「もしもし。久しぶり。あのさ、出物のフレームがあるんだけどね。△△の赤黒で、サイズは530。ね。ぴったりでしょ。これが発注ミスで1本だけ余ってるって訳。人気のブランドだしすぐに買い手がついちゃうと思うんだけど、一応あなたに電話してみたの。どする?買うなら取っとくし、買わないんなら別の人に話を回しちゃうけど。定価の6割引だよ。アルテグラで組んでもフレーム定価までいかないよ。超お得だと思うんだけどなぁ。あ。カードは無しよ。現金でお願いね。買うの?それとも買わないの?」
急に電話貰って、心の準備も出来ていない状況で、あたふたしない方が無理と云うもんでしょう。正解を見つけようとすればする程、分からなくなってしまう。
「ねねね。どするのさ?他に回しちゃうよ。カーボンモノコックだし、530だったら引っ張りだこだと思うんだ。来年モデルの発表まで、まだしばらくあるしさ。このグレードで、一応新品で、この値段はもう無いと思うよ。ね。聞いてる?だからさ、今さ、この電話でさ、決めて欲しいんだってば。お金は明日で良いからさ。あ。カードは駄目よ」
人生でぶつかる問題に、そもそも正解なんてない。とりあえずの答えがあるだけです。
養老孟司著「バカの壁」の中のお言葉です。こういう状況で購入を決意したらきっと後悔するでしょう。しかし、話を見送っても、結局、後悔する事になるのです。そうなんです。いずれにせよクヨクヨ後悔するのです。正解なんて無いんです。だから悩んだって無駄なんです。
と、ここまで分かっているのにまだ逡巡する、優柔不断な私なのでありました。
え?結局この話はどこに落ち着いたかですって?ふふふ。はっきりと断ってやりましたよ。男らしく堂々とね。ええ、言いました。「いらないって訳でもないような気もするかも知れない」とね。でもやっぱ、買っとけば良かったかなぁ〜。結局ウジウジだよ〜。ま、そんなもんか。
【つづく】
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