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単管パイプで「田」の字の土台を作ります |
久保基地を新築した際、リビングの掃き出しの窓に接続する形でウッドデッキをしつらえました。家族の憩いの場として、犬猫の遊び場として、布団や洗濯物を干したりする場所として、現在も継続して活用しております。
今回は、和室の掃き出しの窓に接続する形で、小さなウッドデッキを拵えてみようと思い立ちました。程久保基地は基礎が高く、和室の窓から庭に出ようとすると80cm程度の段差を降りねばなりません。一々上り下りするのが面倒で、和室側の庭は今まで全く活用出来ない状態でありましたので、ここにデッキを作って空間を活用しようと考えた訳です。
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防腐SPF材で根太を作ります |
想定するウッドデッキは畳2枚分の正方形。特に用途が決まっている訳ではありませんけれども、かみさんと二人で座布団に座って月を眺めたり、日向ぼっこをしながら家カフェしたりと、様々な使い方が出来ましょう。
ウッドデッキ機能で重要になるのが、腐食に強いかどうかであります。本来は束柱から木材で造るのが正当なのでしょうけれども、地面に近い部分の木材は腐りやすく、耐用年数を考えますと、腐食に強いイペとかウリン等のいわゆるハードウッドを用いる必要があります。今回はDIYで簡単に拵える訳ですし、そもそも総予算が4万円程度ですから、高価なハードウッドの使用は最初から眼中にありませんでした。
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サーモウッドの床板を張って完成です |
とは云え、人が乗る「床」を造る訳ですので、構造的に弱くては話になりません。そこでφ48.6mmの単管パイプ(工事現場の足場に使っているアレ)で土台を組む事にしました。束柱は9本。これに田の字に横棒を渡して、18ヶの直交ジョイントでがっちり留めていきます。単管パイプは高張力炭素鋼製ですし、しかも梁は80cmのショートピッチで設置していますから、相当頑丈に出来ています。計算上は、大型バイクを乗せてもびくともしないくらい。
単管パイプの水平を入念に確認して、土台の上に防腐SPF材で根太を設置します。圧を掛けて内部に防腐薬液を浸透させてある木材です。ホームセンターでよく見る、薄いグリーンの外構工事用の材料。今回はこの防腐SPF材に、更に水性の浸透防腐塗料を塗って、より腐食に強い状態を作り出します。
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夜はかなり良い雰囲気になります |
これで根太が完成しました。いよいよこれに床板を張っていきます。床板はサーモウッド材を使います。北欧産の針葉樹に200℃位の熱を掛けて加工したサーモウッドは、塗装無しでも防腐効果が高い、最近人気の材料です。根太は防腐塗料で処理しましたが、直接触れる機会の多い床板は、極力薬剤無しでいきたいですからね。熱処理加工賃が入る分、普通のパイン材などに比べればだいぶ高価ですが、それでもウリンやイペなどの高級ハードウッド材とは比較にならない安さなのも魅力です。熱処理により焦げ茶色になっているのもイイ感じ。
床板の固定に当たって、φ10mmの座ぐりドリルで深さ2mm程度を削り、皿タッピングビスの受けを作ります。その中心に2.5mmのドリルで木ネジ用のガイド穴をあけていきます。床板のサーモウッドの厚みが30mm、ここに長さ70mmのステンレス製の木ネジを使って、床板一枚当たり3ヶ所×2本で根太に固定していきます。長い木ネジですし、床板12枚で計72本も打ち込まねばなりませんから、インパクトドライバは必須でしょう。ちなみに、インパクター機能の無い単なる電動ドリルドライバは、失敗の元ですぞ。
床板と床板の隙間はきっちり5mmに設定。5mm厚のL字補強金具をスペーサとして挟んで、隙間の幅が一定になるように作業していきます。床板の上面は、和室の掃き出しのアルミサッシの桟から3mm程度下になるように根太の高さを調整済み。屋内からの段差を極力減らしつつ、デッキの排水を確保するギリギリの寸法という訳です。
お陰様で、当初の設計通りに出来上がりました。全体の寸法誤差1mm未満です。今回は、簡単な気泡式水平器のみで作業を進めましたが、もっと広いウッドデッキを拵える場合は、レーザー墨出し器があった方が良いかも知れませんね。
新しいデッキはサーモウッドの肌触りが中々心地良く、気持ち良く過ごせる空間が出来上がりました。夜、ちょっとランタンを灯してみたところ、これはこれで中々良い雰囲気。サーモウッド材が多少高価でしたが、畳2枚分のデッキの総工費が4万円なら十分にリーズナブルと申せましょう。思い切って造ってみて正解でありました。
【つづく】
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