あれこれ memorandoms やすなべ categorized Yasの状況 activities Yasについて about Yas Yasへの連絡 contact us

  オリオン書房のビジネスモデル  

 徒然

 のアマゾンへの依存度は相当なもので、毎週何らかの荷物が到着致します。ほとんどは書籍です。新聞の新刊情報を見て発注を掛ける事もありますし、アマゾン・マーケットプレイスに出ている古書を購入する事も御座います。我が程久保基地の近所にはまともな本屋が無く、多摩センターの丸善書店に出向くか、立川のオリオン書房に行くか、古書の場合は京王堀之内駅近くのブックオフまで出掛けなければなりません。いずれにしろ車かモノレールを利用するしかなく、結構面倒。私はアマゾンプライム会員ですので、翌日配達の上配送料が無料という事もあり、ついついアマゾンを利用してしまうという訳であります。

 勿論、ブックオフをブラブラしながら、ハードカバーをポンポンかごに入れていく快感も捨て切れませんよ。しかし特定の書籍を探す場合は、やはり検索機能の充実したアマゾンは凄く便利ですからなぁ。在庫数も圧倒的だし。

 丸善やオリオン書房などの新刊書店に出掛けて、平積みされている書籍を見て回ったり書店員さんの書いたPOPに目を通す行為は、楽しいだけでなく、今まで読んだ事のない作者の作品にチャレンジする良いきっかけとなります。しかし最近ではネットでもランキングや書評を見る事が出来ますから、以前に比べて新刊書店に出掛ける頻度が低くなってしまったのも、致し方ないと申せましょう。実際のところ、新刊書店の多くは、かなりのお客をアマゾンに食われているのではないかなぁ。

 こうした傾向を打破する為でしょうか、オリオン書房が新しいサービスを始めました。その名も、サイン本販売サービス。大きな書店で著者のサイン会が催されるのは割と普通な事で、その際、新刊本をその書店で購入し著者にサインを貰うという形式が一般的であります。ただしこうしたサイン会は特定の日にたった2時間程実施されるだけですので、サイン会のスケジュールを事前に調査・確認し、そのタイミングを狙って出掛けなければなりません。

 おそらくはこうしたサイン会の後、オリオン書房では、著者に何冊か余分にサインをして貰っているのでしょう。平積みされた新刊書の中に「著者サイン本」と掛かれてビニールで梱包されているものがいくつか混じって並べられているのです。価格は他の新刊本と変わらず定価売り。読む分にはサインがあろうと無かろうと関係ないですけれども、サイン本というだけで、読んでみようかなというきっかけになるのは間違いないでしょう。少なくとも私はそう。サインが入っているだけで、その著者に対して何か特別な親近感が湧きますものなぁ。

 最近ではオリオン書房で(ひがし)直子著「いつか来た町」(PHP研究所)のサイン本を購入したのをきっかけに、「いとの森の家」(ポプラ社)、「さようなら窓」(マガジンハウス)、「薬屋のタバサ」(新潮社)、「とりつくしま」(ちくま文庫)と、一挙に読んでしまいました。元々その作品を一度も読んだ事のなかった著者ですので、これだけ一気に読むとなると、オリオン書房のビジネスモデルにまんまとヤラレた形であります。

 直木賞や芥川賞の受賞がきっかけで、未読の著者の作品を読むというのは割と一般的な話でしょう。今回の「サラバ!」の直木賞受賞をきっかけに初めて西加奈子作品に触れ、「白いしるし」(新潮社)、「さくら」(小学館)、「炎上する君」(角川書店)、「地下の鳩」(文藝春秋)、「きいろいゾウ」(小学館文庫)を一気に読みました。こうしてみますと、私の場合、サイン本も直木賞も、読書のきっかけとしての影響力は同等で、だとするとオリオン書房のビジネスモデルは、新たな購買モチベーションの発掘という意味で、中々効果の高いモノであると云えそうです。

 先日、吉祥寺サンロード商店街にあるBooksルーエに立ち寄りましたところ、オリオン書房のように、平積みエリアにサイン本が置いてあるではありませんか。どの新刊書店も生き残りを賭けて必死なのでありましょうなぁ。アマゾンとの差別化の為に、こうしたビジネスモデルが広まって行くかも知れませんね。Copyright (C) by Yas / YasZone

【つづく】

「あれこれ」の目次に戻る

Copyright(C) by Yas/YasZone