相模湖以西も上野原、 だいぶ嫌になりかけたところで、笹子トンネル入り口に到着です。旧道笹子峠は冬期通行止めの表示が出ておりましたので峠回りルートは諦め、全ての点滅灯をオンにして、トンネルに入っていきます。後続車からの視認性を高める事は、事故回避の鉄則であります。笹子トンネルは道幅も広く、中も明るく、しかも勝沼方面に向かって若干の下りとなっており、自転車にとってはかなり走りやすいコンディションと申せましょう。それでも点滅灯は必須です。後続車になるべく迷惑を掛けないように、頑張って時速40Km弱で巡航します。先程までの登りの向かい風に比べて、下りの無風は非常に快適。トンネル内は暖かいですしね。何だか自分が速くなったかのような錯覚にとらわれます。 トンネルを出ると勝沼に向かって道は一気に下っていきます。ところがトンネルを抜けると相変わらずの向かい風でありまして、下りなのにあまりスピードが乗りません。全くやっかいな風であります。すごく寒いし。 中央道勝沼インターチェンジ手前で甲州街道を離れ、県道306号を進みます。軽車両進入禁止の立体交差が多い甲府バイパスを避け、一本北側のブドウ畑の中の道を進もうという計画です。石和温泉で笛吹川の対岸に渡り、山梨学院大学前を抜けて、甲府の中心街に入ります。 国道52号で県立美術館の前を抜け、竜王立体で甲州街道に戻りました。甲府市内もずっと向かい風でしたが、遮蔽物のない甲州街道に戻ると、その辛さは倍加します。韮崎に向かって道はダラダラと登りつつ、しかも強烈な向かい風。メゲそうになります。 韮崎から甲州街道を離れ、国道141号、通称清里ラインに入ります。須玉インターを過ぎますと、それまで西北西に向かっていた道は、北に進路を変えます。いよいよ標高1100mを目指しての登り区間。時折現れる急坂にビビりながら、トコトコと高度を稼いでいきます。 高根の湯を過ぎる辺りから、風景は山の中のそれに変わります。キツい斜度。息が上がります。心拍は170bpm台まで上昇しています。背中が汗で濡れてくるのが分かります。ところが手は冷たいままなのです。それもその筈、路肩の電光掲示板を見ると気温は0度。4月というのにこの寒さは何なのでしょうか。標高はまだ800m台だというのにこの寒さ。目的地の標高は1100m以上。しかも夕方に入ってこれからどんどん気温は下がるのです。あ〜あ、先が思いやられます。 足を着きたくなる誘惑を誤魔化しながらトコトコと登っていきます。それにしてもこの道、こんなに長かったっけ?いつもは自動車でしか通らないものですから、斜度や距離感がいまいち掴めておりませんでした。もっと楽に登れると思ってたんだけどなぁ。しかしここまで来て引き返す訳にもいきません。宿も予約してしまいましたしね。既に足に来ています。時速一桁Kmでトコトコと微速前進します。 ああ、やっと見覚えのあるJAのガソリンスタンドが見えてきました。本日の宿、ブルーイングリーンはここを左折した一角にあります。長かったぁ。何とか足着き無しで登ってきました。時刻は既に夕方の5時30分を過ぎています。急いでチェックインをすますと、何はともあれまずはお風呂。登り坂を漕ぐ事で体の芯は熱くなっていたですが、皮膚表面は冷えきっているという不思議な現象。このままでは風邪を引いてしまいそうです。熱めのお風呂に入って、まさしく生き返りましたよ〜。 さ〜て、実験の結論。グランフォンド八ヶ岳に東京から自走で参加する事はオススメ出来ない事が判明しました。少なくとも私の場合は無理。一応は自走で清里に到達出来ましたよ。距離は150Kmとそれなりですが、現実離れした超長距離という訳ではありませんしね。でも途中、大垂水、笹子と越えねばならぬピークが2つもあり、しかも途中は遮蔽物がほとんど無い甲州街道を走り続けなければならない為、今回のように運がない日は実に100Km以上に渡って向かい風の中を進まなければならない状況も考慮しなければなりません。更に最後に、韮崎から標高1100mの清里までの長い登りが待ちかまえているのであります。 体力的には何とかなったとしても、満足感といいますか満腹感と申しますか、「自転車はもう十分」という気持ちになってしまうのでありますよ。大会前日のモチベーションの低下は大問題でしょう。美味しいディナーに加えグラスワインを一杯頂いたら、あまりの幸せと充実感で、明日の事などどうでも良くなってしまうのは必至。やはり大会前日の八ヶ岳までの自走は無理があります。今年のグランフォンド八ヶ岳には、絶対に車で来ようと心に誓った私で御座いました。 ところでお話はこれでは終わらないのであります。そう。実験は終了し一応の結論を得られた訳ですが、実は私は輪行袋も持たずに山梨まで来てしまっていたのでありました。つまりは自走で帰るしか方法が無いのであります。ご存じの通り山梨県は甲府盆地を中心としたすり鉢型の地形となっておりまして、どこに行くにも峠を越えなければならない事をすっかり失念しておりましたよ。という訳でこの顛末の続きは、またこの次に。
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