て前回は、キシキシ音を止める為にペダルを交換する事を決意したところまで、お話申し上げました。今回はその続きであります。
私は以前よりシマノ製のPD-M520というSPDタイプのペダルを使っておりました。SPDは本来マウンテンバイク用のビンディングペダル規格ですが、ロードバイクで使用しても全く問題ありません。ツールドフランス級の使用においてはロード専用規格に比べれば多少効率は落ちるかも知れませんが、普通の使用では十分過ぎる程十分なのであります。
ロード専用のペダルには当然ロード専用の靴が必要となります。この靴が自転車に乗る事しか考えられていないもんですから、普通に歩く事すら困難という代物。私の場合、出掛けた先で美味しいものを食べたり、珍しいものを観たりという、ユル系のサイクリストですので、SPDの方が使い勝手が良いのです。
現行のPD-M520で、何ら問題ありませんでしたので、今回も同じPD-M520でのリプレースメントを考えておりました。PD-M520は定価で 4,215円であります。ロードバイクにお乗りにならない方から見れば、自転車のペダルだけで 4,215円!!!と驚かれるかも知れませんが、ま、趣味というものは大抵の場合、それなりのお金が掛かるもんなんでありますよ。
私の自転車仲間に、ともちんさんと云う方がいらっしゃいます。クロモリ製のブリジストン・アンカーを駆る紳士でありまして、人間的に大変素晴らしい方なのでありますが、唯一、人の物欲を焚きつけるのが上手過ぎるのが難点であります。勧め上手なのです。
あのさ、Yasさんさ、この前マングに行ったらさ、店長曰く、シマノのSPDペダルは安い奴は強度がなくてダメだ、って言われたんだよね。俺さ、ペダルはPD-M520使ってたんだけど、モロに、こんなの使ってちゃ駄目駄目、ましてやこれからこんなの買うなんて言語道断だよって、釘刺されちゃった。
どうも、ともちんさんには読心術の心得があるようなのです。ちょうどこの時、私はキシキシ音を止める為にペダルを変えちゃおうかなという話を切り出そうとしていた、まさに瞬間でありまして、ちょうどペダルの話題が出ただけでも驚きなのに、そのマングで叱られたペダルが件のPD-M520だってんですから、そりゃ大層吃驚致しました。
マングにシマノのSPDペダルのサンプルがあるんだけどさ、PD-M520をクルクルした後、XTR PD-M980をクルクルしてみたら、全くの別物な訳。抵抗が少ないというか滑らかというか、XTR
PD-M980触っちゃったら、もうPD-M520買うなんて、考えられないね。
うむう。ともちんさん、恐ろしや。何も話していないのにこちらの心を読みつつ、きちんと牽制を効かせるあたり、やはり只者ではありません。それにしてもこれでは、安いPD-M520を買う訳にはいかないではありませんか。
家に戻って参りまして、自転車あさひネットワーク店のサイトを見ておりますと、ありましたありました。今日ともちんさんがおっしゃっていたXTR PD-M980ペダルは今週のイチオシ商品に指定されています。どれどれ値段は・・・、と何と!11,546円ではありませんか!!ペダルが、11,546円!!ペダルを買う方がカインズホームの自転車本体よりも高価い!!信じられません。こりゃ高価過ぎます。無理です。安いPD-M520で十分です。安いと云っても4,215円なんですよ。私にとっては、これだけでも十分に高価です。そもそもキシキシ音がするだけの事なんです。今のところ音以外に実害は無いのであります。いくら何だって音を止めるだけに11,546円も払うのは誰が考えても行き過ぎでありましょう。しかも、本当にキシキシ音の原因がペダルにあると特定出来ている訳ではないのです。ペダルをリプレースしても、キシキシ音の原因は他にあるのかも知れず、だとしたら、何の為のペダル交換か分かりません。
一旦は、11,546円のXTR PD-M980ペダルの事は忘れようとしたのですが、ふと、安いPD-M520を購入した後の、ともちんさんの反応を想像してみてしまったのであります。あくまでも想像です。実際にともちんさんがこう発言した訳ではありませんよ、念の為。
ありゃ〜、あれ程言ったのに、Yasさん安いPD-M520買っちゃったの。こんなペダルを買ったんじゃ、しばらくマングに出入り出来ないよ。そりゃマングの店長も面と向かって責める事はしないでしょ。一応大人だしね。でもその程度の人間に過ぎねぇんだなぁって態度はとるだろね。あ〜あ、だからあれ程安いPD-M520じゃなくてXTR
PD-M980にしなよって言ったのに〜。馬鹿だね〜。安物買いの銭失いだねぇ〜。
ぽち。思わずマウスをクリックしてしまいました。えぇそうです。私はXTR PD-M980の購入ボタンを押してしまったのでありました。
数日後、宅配便で届いたXTR PD-M980ペダルを装着してみますと、造りからして今までのPD-M520とは異なります。動きが滑らかですし、何より工業製品としてみた場合、精度が出ている感じと申しましょうか。いやはや、やはり高価いだけの事はありますなぁ。
お陰様で気になっていたキシキシ音も止まりました。やはりPD-M520のベアリングの磨耗の問題であったようです。それにしても翌々月のカード代金の引き落とし時に、このペダル代をかみさんに何と説明するか。これが目下のところ、私の抱える最大の課題なのでありました。
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【つづく】
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