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  今週のお言葉  

 の中には、存在しない筈の「行間」を無理に読もうとしたり、見えていない「意図」を勝手に想像して補おうとしたりする人が居るのですな。

 例えば、「どうしてそんな事になったのですか」という問いは、「ふざけんなよテメー」でも無ければ「俺はめっちゃ腹立ってんだぞ」でも無ければ「謝れ、この(くそ)野郎」でもなく、「どうしてそんな事になったのですか」という純粋な問いかけ以外の何物でもないことを、どうしても理解して下さらない方が居るというお話なのですが、主に文字だけでコミュニケーションを取る事の多いSNSで、こうした妄想と思い込みに満ちた書き込みを返す人は、確かに一定数存在致します。

 しかし、実際に声を聞き、表情を見ながらの、イン・パーソンなコミュニケーションにおいて、こうした齟齬(そご)(まれ)だと思っていたのであります。

 いやいや実際にあるんだよ。

 住野よる著「夜想い」(双葉社)からのお言葉です。多摩センターの丸善書店で買い物をして、エレベーターで一階に降りようとしていた時の事。途中階でベビーカーを押した女性が乗り込もうとしてきました。エレベーターは結構混んでいてそのままでは乗るのは無理な状態だったのですが、皆がそれぞれ詰めれば、なんとか乗れそうでしたので、私は、中の乗客の方々に、「少し詰めてもらえますか、そうすればベビーカー乗れるんで」と声をお掛けしました。すると私の発言を受けて、皆さんがそれぞれ少しずつ詰めて下さり、ベビーカーを乗せるのに十分なスペースが空いたのであります。その間、約10秒程。

 するとベビーカーを押していた女の人が突然叫び始めました。「これはベビーカーを畳めという事ですか?!!畳んだ上で子供を抱っこして乗れという事ですか?!!それって酷くないですか?!!ベビーカーでエレベーターに乗るのはそんなにイケない事ですか?!!子供なんて連れてくるなって事ですか?!!あなたは何の権利があって私をいじめるのですか?!!」

 エレベーター内の全員、意味が分からず呆然としています。誰も彼女を責めたりしていないのです。いやむしろ、厚意をもって皆で協力してベビーカーの為のスペースを空けたのであります。

 私の横に立っていた70代くらいと覚しき上品な感じの女性が、皆に聞こえるように、「馬鹿は相手にしても仕方がないわ。さあ、下に参りましょう」と云うなり【閉まる】ボタンを押してくれたのでありました。

 エレベーターの扉が閉まり、件のベビーカーの女性が見えなくなった途端に、「何だあの女」「頭がおかしいのかもね」「二度と会いたくない」「折角厚意で詰めたのに」「怖〜い」「オバさんグッジョブ!」と皆が口々に喋り始め、程なくしてエレベーターは無事一階に到着したのでありました。

 こういう人って、家や職場でどうやってコミュニケーション取っているのでしょうか。とにかく、こういう人には近づかないのが一番であります。くわばらくわばら〜。それにしても、「さあ、下に参りましょう」という、あの言葉には、本当に救われましたよ。Copyright (C) by Yas / YasZone

【つづく】

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